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月都の処遇/Treatment in Moon City 月都の処遇/Treatment in Moon City(2)(W/B) ソーサリー タップ状態のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは、再生できない。 参考 月都抄-コモン
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GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE PROGRESSIVE GOSPEL KHAMEN BREAK くふおー 180 692 n%(yyyy/mm/dd) 攻略・コメント 符点8分の間隔で叩く場面が多いので、適当に叩くとスコアが伸びづらい。BSSが2P側に2回登場するが、CNはない。 -- 名無しさん (2014-08-06 19 39 17) 名前 コメント
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朝起きたかがみは時計をみて驚いた。 「ち、遅刻だぁ~~~~~~!」 飛び起きてリビングへ出ると・・・・・。 「あ、お姉ちゃん。おはよ」 妹のつかさはボーっとしながらテレビを眺めていた。 つかさが特にあせる様子もないのでかがみの頭の中に疑問符がたくさん浮かび上がった。 ここで、かがみは気づく。 ――――――そういや、“アレ”は明日じゃん・・・・。 少し恥ずかしい。例え、誰にも分からないにしても。 そのままその場に突っ立っていると・・・・。 「ん?どうしたの?もしかして、遅刻と思って飛び起きたら“アレ”は明日ってことに気づいたとか?」 つかさがクスクス笑いながら言う。 ――――――相変わらず感が鋭いやつだ。 “アレ”というのは、意識を仮想現実空間に送るプロジェクト、「Nightmare lucky City」のこと。 かがみ・つかさはともにテスターとなっている。 「そうそう、峰岸さん達が逃げ・・・・もとい。遊びに来るらしいよ。昼に」 「んじゃ、私はそれまで寝るわ。オヤスミ~」 というとかがみはソファーにどさっと寝転んだ。 「どんだけー・・・・」 つかさはため息をついた。 昼になって峰岸達が“逃げてきた”といって、つかさにたたき起こされた。 みさお、あやの ともにコブやアザができている。 また、やばいことが日下部の兄貴にばれてボコられたのだろう。 「そういえばゆたかちゃんは?てっきり一緒かと・・・。」 「友達と遊びに行ってる。なんだ、来てほしかったのか?つかさ?」 「ち、違うよ・・・・・」 とまあ、他愛もない話をしながら時間が過ぎていき、峰岸達は帰っていった。 そしてかがみはというと・・・・・。 「さて、寝坊しないようにさっさと寝るかな」 「どんだけー・・・・。早すぎでしょ・・・・。」 かがみは問答無用で布団へバタリ、そしてグースカ。 時計はPM7:00を指していた。 「ホントに寝坊しないのかな・・・。そのときはたたき起こすか。」 つかさはぼそりとつぶやきあきれていた。 そのころ、「Nightmare lucky City」(以後NLC)の仮想現実空間では・・・。 「ククク・・・・。そろったようだな、管理者の諸君。」 姿をマントなどで隠しているものもいるが、十数人いる。 「いよいよだ。ここを、われわれの理想郷とする!」 モララーは声高々に宣言した。 これが本当の悪夢(Nightmare)の始まりだった・・・。 当日・・・・。 かがみとつかさは集合10分前というギリギリに到着(しかもタクシー) 「っんもー、いつまで寝てりゃ気が済むんだか・・・・・」 つかさは、あきれていた。 ――――――まったくだ。自分でもそう思う・・・・。 「まぁ間に合ったからよしとしてやるか。入ろうつかさ」 2人は、「NLC]の行われる凌桜ビルに入っていった。 受付でIDカードを受け取り「NLC」が行われるエレベーターで20階に上がった。 一緒に乗った女の子をかがみはニヤニヤしながら見ていたが、つかさがその足を思いっきり踏んだ。 かがみは一瞬ぶん殴ろうかと思ったが、やめた。 仮にも双子の妹だからだ・・・・・・・ 20階に着くと、みなみが出迎えてくれた。 みなみはこの研究所所長であり、この「NLC」計画の実行者である桜庭博士の一番弟子である。 「私も・・・・参加・・・する。」 といいながらそれぞれのID番号の付いたカプセルの前に誘導してくれた。 周りを見渡すとかなりの人数がいる。 その中に峰岸・日下部・ゆたかちゃん・やまとを見かけた。 ―――――あいつらも参加するのか・・・。 そう思ってから、カプセルの中に入った。 アナウンスが入る。 “準備完了しました。ログインを開始します。” そうすると、自分の体が浮いているような感覚に陥った。 “意識を仮想現実へ転送しているのです。心配要りません” その次の瞬間には、周囲の景色が変わっていた。 周りを見渡すと、猫や犬やわけの分からない生物がいた。 “そのままの姿ではサーバーの負荷が高すぎるため独特なキャラクター設定になっています。” かがみはビルのガラスで自分の姿を見た。 ―――――猫・・・・だね。 かがみは紫の猫の姿だった。 “ログアウトは最果てにある【オアシス】でできます。 この空間で、最初各プレイヤー4000LPを所持しています。足りなくなったら、ログアウトして補充してください。 【オアシス】へは直行タクシーが無料で運行しています。” 「あの~」 一人の“猫”がアナウンスに質問した。 「迷ったり、困ったときはどうすれば・・・?」 “管理AIがいますので、その方たちに尋ねてください。疑問を解消してくれるでしょう。 ではごゆっくり” そういってアナウンスは切れた。 そして、人々はあちこちに散らばっていった。 かがみはその辺をうろうろうろつくことにした。 近くに喫茶店を見つけたので店に入り、メロンソーダとケーキを注文した。 ・・・・合計金額1900LP・・・・。 ―――――ぼったくりかよ・・・・。 そう思いながら、かがみは店を出た。 その辺の路肩にすわり空をボーっと眺めていると、あることに気が付いた。 「太陽が・・・・黒い!?」 ちょうどそのときだった。悲鳴とも断末魔とも取れる叫びが聞こえたのは。 ~現実世界の研究所内~ 「桜庭さん大変です!」 「NLCの太陽が黒く!」 「なっ・・・・」 なぜだ?博士はなんとも言いようのない不安が襲った。 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」 あの叫びが聞こえて以来、次々に悲鳴と銃声が鳴り響いた。 あちこちでガラスが割れ、爆発が起きる。 そんな時、かがみはいやな予感がして、後ろへ下がった。 次の瞬間、刀を持った何者かが先ほどかがみがいた空間を切りつけた。 「へへへ・・・・。お前で何十人目かなへへへ・・・。」 「だ、誰よアンタ!?」 刀には血がべっとりと付いている。 「オレかい?冥土の土産に教えてやろうか。オレはなぁ・・・・・。管理AI、白石NO.8だ。」 白石 管理AI:NO.08-8 かがみは丸腰。到底かなうわけがない。 「さて、おしゃべりはこの辺にして・・・。死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 かがみは思わず両腕を頭をかばうように突き出した。 「死ぬのはお前だよ」 どこからか声がした。 前で鈍い音がして恐る恐る腕をおろした。 黄色の犬が大剣を持っている。 白石は遥か右方向に転がっている。 「大丈夫、お姉ちゃん!?」 「この声・・・・つかさ?」 「お姉ちゃん・・・・。無事でよかった。」 「その剣は?」 「そこの武器屋で買った」 ―――――私も武器ほしいよ・・・・。 一通りはなしをすると、急いでバーに向かった。 「だれかいる~?」 「そ、その声柊か?」 青い猫が顔を出した。 するとそれに続いて数人顔を出した。 「右からあやの、ゆたか、やまと、みなみだ。」 と、日下部が説明してくれた。 「か、顔が変わると分かりにくいな・・・」 『だな』 なぜかみんなハモった。ゆたかだけが「ですね」といったのが聞こえたような気がするが・・・。 峰岸は緑の日下部と同体系の猫。ゆたか、みなみは人型に近いが、現実の本人とはまったく似ていない。 そしてやまとだ。やまとは、顔が時計になっていた。 「一体どうしたんの?」 「あたしたちにもわかんねーな。とりあえず生き残りがいないか探しに行こう。 あたしたち3人は西街を。やまととみなみは東街へ。つかさは駅へ向かってくれ。柊はオアシスへ。」 日下部がてきぱきと指示する。 「武器は、私が剣。ゆたかちゃんたちが拳銃。永森さんとみなみちゃんは軽トラック。」 「わたしは?」 「こいつを持っていって」 つかさが投げたのは拳銃だ。 「行っておくけど、弾の補充はできないから。大事なときだけ使って。」 みんな外に出て行動開始する。 永森さんとみなみちゃんは軽トラにのり。ゆたかちゃんたちはバイクに乗った。 「ちょ、私は?」 「歩いて」 「ぅぇ」 ―――――オアシスまでどれだけかかるんだ・・・・。 「とにかく全員無事でまた合おう!」 そういって各人持ち場へ散った。 かがみは街を歩き出した。ひたすらオアシスを目指して。 そして、途中角を曲がったときに人影が見えた。 「だ、誰!?」 かがみはとっさに拳銃を構えた。 そこには青の猫がちょこんと座っていた。 「ごめん・・・・。あんたは?私はかがみって言うんだ。」 「あたし?あたしはこなた。」 「この世界、何か辺・・・。どうすればいいの・・・。このままじゃ、みんな・・・・!」 こなたは下を向いてうつむいていた。 ―――――か、かわいい・・・・・。 そう思ったかがみだったが、今はそんなことを思っている場合ではない。 「・・・・・方法は無いこともないけど・・・・。」 こなたが唐突に口を開いた。 「えっ!それはなに?お、おしえて!」 かがみはこなたに近寄った。 「う、うん・・・。」 「いったんログアウトして、博士にシステムコントロールのプログラムを誰が持っているか聞いて、それを破壊すれば止まるのね?」 「うん・・・・・」 「おし!オアシスへ急ぐかぁぁ!」 かがみは立ち上がって歩き出すかとこなたは思った。 しかしかがみは・・・・。 「あんたも一緒に行こう。ここにいちゃいけない。」 「で、でもあたしは・・・。」 「いいからっ!」 そういうとかがみはこなたの腕をつかんで、走り出した。 ―――――結局言えなかった・・・・。どうしよう・・・。 こなたは管理AI。 だが“不完全”管理AIと呼ばれていた。公式的には管理AIと登録され、発表されていた。 しかしこの“不完全”という単語が後に大きな意味を持つことになる。 こなた“不完全”管理AI。管理AI:NO.00。 この2人の出会いがNIghtmare lucky City、そして現実世界で大きな“奇跡”を起こすことになることを2人は知らなかった。 こうたちはキーンに追われて、街の裏路地をひた走っていた。 「あははは・・・・。待ちなよ~。死なせてあげるからさ~~~~~。あははは・・・」 「キモイっスーーー!」 「もう!どっか行きなさいよ!」 ひよりとこうが叫ぶが相手が聴くわけがない。 「モ、モウキツインデス?アチラサンハ・・・ウワ!?」 パティが溝につまずいて転んだ。 「あははは・・・・。まず君からだね~」 そういって手にしていた「ライトニングナイフ」を高々と持ち上げた。 万事休す。しかしこのとき、こうは覚悟を決めた。 ―――――あたしがここで体をはらなきゃパティが・・・! こうはキーンに殴りかかり、がら空きの腹に強烈なボディブローを叩き込んだ。 「!?」 完全にパティに意識が飛んでいたキーンは、それをもろに受けた。 「こうちゃん先輩、よけるっス!」 こうが横に飛んだとき銃声が鳴った。 キーンはその場に倒れ伏した。 ひよりの手にはマグナムが握られていた。 「コウ、サンキュ・・・」 「無事ならよかったけど、こんなときにドジするなんて・・・・・。 まあ、結果オーライでよしにしますか。」 そこまで言って、こうは自分が震えていることに気づいた。 ~地下鉄駅・構内~ 周囲に人影はない。 そこに入ってきた電車につかさが乗ろうとしたときだった。 「フーン。まだ生き残りがいたモナか?」 「だ、誰!?」 「僕かい?AIのモナーだモナ。」 つかさは大剣を握り締め、モナーのいる電車の屋根に飛び乗った。 モナー 管理AI:NO.02 ~東街~ やまとが軽トラを運転し、みなみは荷台で生存者を探していた。 「ん?あれは?」 みなみが何かに気づいた。 「どうしたの?生存者がいた?」 「いや・・・道路を猛スピードで走ってくるなにかが・・・・!?」 「な、何?」 「や、やまと、アクセルを全開にして!追いつかれる!」 追ってきていたのは白石NO.1~3だった。 「いい女み~っけ☆」 「逃がさないよぉ~」 「マテマテ~」 『き、キモイぃぃぃぃ!』 みなみとやまとは同時に叫び、アクセル全開にした。 白石 管理AI:NO.08-1~3 ~西街~ みさおはあやのとゆたかをビルの中に残し、捜索を続けていた。 「こちらみさお。生存者はいない模様。」 無線で、あやのに告げると「ラジャ」と返事が帰ってきた。 みさおがふとバックミラーを見ると、赤いものがビルとビルを跳ねながら近づいてくるのが見えた。 「な、なんだ!?」 「アヒャヒャヒャ。次の獲物みーっけ!アヒャヒャヒャ」 「誰なんだ!?お前は!?」 みさおはアクセルを全開にして逃げに入る。 「オレか!?アヒャヒャヒャ!管理AIのつーだ!アヒャヒャヒャ」 「あ、あやの!敵に見つかった!ピストルの準備を!そしてアレもだ!」 つーは手に武器を発生させた。 「ライトニングダガー」だ。 それをみさおに向け、数本投げつけた。 「アヒャヒャヒャ!よく逃げるねぇ。そのくらい活きがよくなきゃ。アヒャヒャヒャ」 つー 管理AI:NO.03 ~地下鉄・電車屋上~ つかさは管理AIのモナーと激しく切り結んでいた。 「うっ!強い!」 ―――――しかもなに?あの光る武器は!? 「「ライトニングハルバート」とモナーはまだこんなもんじゃないモナよ?」 「うるさい!」 そういうと、つかさは相手の懐目掛けて突進した。 「捨て身モナ?そんなの・・・意味ナイモナ!」 つかさの捨て身の攻撃はあっさり防がれ、逆に弾き飛ばされてしまった。 そしてモナーはこっちに突っ込んできた。 「モナナナー!」 「!?」 モナーの全体重を乗せた一撃に、つかさは吹っ飛ばされ電車から落ちそうになった。 どうにか電車の屋根のヘリをつかんではいるが、大剣はどこかに飛んでいった。 「年貢の納め時モナ」 「それは・・・・・どうかな!」 つかさはその手を離し、電車から落ちた。 「な、自分で落ちるとは・・・。天晴れモナ」 「くぅ・・・・。」 どうにか逃げおおせたものの、落下したときに左腕を負傷した。 「痛い・・・・。とにかく駅まで戻るか・・・・。 ほかのみんなはどうしたかな・・・・」 つかさはトコトコ歩き出した。 ~東街~ 「や、やまと!角を、角をジグザグに曲がって!こいつらを撒く!」 「お、OK!」 次の角を、アクセルを全開にしたまま曲がった。 さらにその次、その次とカーブを曲がっていく。 するとそのうち白石が見えなくなった。 「よし!撒いた!車を降りてビルに隠れる!」 「う、うん!」 車を止めて、少し先のビルに入っていた。 「ん~?」 「あれれれ?」 「どこに隠れたかな~?」 白石たちはその辺をキョロキョロしている。 「たぶんあのビルでしょ」 といって、やまと達がいるビルに入っていった。 ~西街~ つーが放つ「ライトニングダガー」をよけるのでみさおはいっぱいいっぱいだった。 もう少しで・・・・。 「あやの!後もう少しだ!今・・・見えた!」 「OKみさちゃん!準備万端!ゆたかちゃん、来るよ!」 「分かったです!」 そして、みさおが窓ガラスを突き破って入ってきた。 ――――― 日下部先輩・・・・。ここ、2階です・・・。 みさおはなんと、バイクで2階の窓ガラスに飛んで入ってきたのだ。 その後赤いものがゆたかたちの目に見えた。 「き、来たぞ!」 ゆたかたちがピストルを撃つ。 「アヒャヒャヒャ!そんなの当たるかぁ!」 つーは「ライトニングダガー」を投擲した。 ゆたかは危うく当たりそうになるが、恐るべき反射神経でそれをよけ、髪を切った程度で済んだ。 「ゆたか、伏せろ!」 そういうと、あやのはつーに向かって何かを投げた。 「アヒャ?」 それは突然ものすごい光を放った。 「発光弾!?」 「いまよ!」 3人は、ビルから出て逃げた。 ようやく視界が元に戻ったつーは奥歯をギリリとかみ締めた 「アヒャヒャヒャ・・・にげやがったか。アヒャ」 ~オアシスへ向かうかがみ・こなた~ トンネルに差し掛かったときに、トンネル入り口に白石が見張りについていた。 「ちぃ。こいつを使うか。こなたは隠れてて」 「う、うん・・・・」 かがみは物陰から躍り出て、右手には拳銃をグリップしている。 白石NO.4はかがみにようやく気づくが遅かった。 2発の銃声が鳴り、白石は倒れ伏した。 「さぁ行こう」 2人はまた走り出した。 かがみとこなたはオアシスへ向かって、オアシスへと架かる橋に差し掛かっていた。 しかし、橋の支柱の上にはみゆきがいた。 「この期に及んでログアウトしようとする方がいるとは。 白石はやられましたか。 仕方ありません・・・。私が直々に相手をしてさしあげます。」 みゆきは手に持つ光る剣「ライトニングブラッディソード」を落下しながら振り下ろした。 ズドォォォーン! 「な、なに!?」 「ここがアナタ達の墓場です」 「いきなりかよ!こなた、下がってて!」 みゆきはかがみに切りかかってきた。 持っている拳銃を撃つが、当たらない。弾を使い切った。 と、みゆきが振った剣で、道路標識が切れた。 ―――――しょうがない、こいつを使うか! かがみはその標識を握り締め、みゆきに向かっていった。 「そんなもので私がやれると思ったのですか!」 「やってみなきゃ・・・、わからないでしょ!」 しかし、かがみは一方的に押され気味だった。 二人は激しく攻防を繰り広げ、支柱の上で戦闘している。 「ふふ、がんばったようですがこれで終わりです!」 ザン! かがみはなすすべもなく斬られ、海中に落ちていった。 「かがみーーーー!」 こなたの悲痛な叫びもかがみには聞こえなかった・・・・。 かがみは海に沈んでいった。 ―――――私は・・・、死んだ・・・・・の? ここで、終わり? なんか、悪いな・・・みんな。まだ頑張ってるんだろうな・・・。 先に逝くわ・・・・。 こなた・・・約束守れなくて・・・・ごめん・・・・。 『 そ れ が お 前 の 望 ん だ 結 末 か ?』 そう、どこからか声が聞こえたような気がした。 いや、聞こえたんだ。 ―――――これが、望んだ結末・・・・?私が?ていうかあんた誰? 『お前の質問など聞かん。お前はこの結末を望んだのか? 仲間も、大切なものも、約束すら守れず、ただ死んでいくのか?』 ―――――私のことがわかるのか? 『さっきも言った。お前の質問など聞かん。 【これがお前の望んだ結末】か?」 ―――――仲間も、こなたも、約束も守れずに死んでいく・・・。これが私が望んだ結末? ―――――そんなわけ・・・、そんなわけない! かがみの体に力が湧き出た。 ~橋~ 「うぅ・・・・ひぐ・・・・」 「今更泣こうが同じです。おとなしく死にな・・・・。」 みゆきが剣を構えたときだった。 かがみが突如海面から飛び出してきた。 「な・・・、バカな!」 ―――――なぜ、海中からあの高さまで飛べる!? かがみの周りの水がかがみの手に集まり、そして剣となった。 「オーシャンブレイド」 かがみに隠された力だった。 ―――――う、うそでしょ・・・・。 みゆきは舌を巻いた。 みゆきと互角の勝負。お互いに激しく斬りあい、攻防を繰り広げる。 と、みゆきが思い切り剣を振り下ろし、2人とも弾き飛ばされた。 同時に剣を構えなおし、すれ違いざまに斬りあった。 ドサッ 倒れたのはみゆきだ。 「いまよこなた!いくよ!」 2人は走り出した。 ~ビルの中~ ひなたとひかげはビルの中に隠れ続けていた。 「ひかげちゃん見て・・・きれい・・・」 ひかげが窓から覗き込む。 「ほんとね・・・・」 ~裏路地~ みさお達はどうにか逃げ切り一息ついていた。 「きれいだな・・・。」 「えぇ、きれいね・・・・ゆたかちゃん。見てごらん・・・・?」 あやのがゆたかのほうをみると、スヤスヤと眠っていた。 疲れたのだろう。 「今のうちだけだぞ・・・」 みさおは頬笑みながら言った。 ~とあるビルの屋上~ こうたちはそのビルでゆいとななこを見つけたあと、屋上へ上がった。 「きれいだね・・・・・」 「きれいっス」 「コウイウノモイイネ」 みんなが見ていたもの。 それは地平線に沈む太陽だった。 NLCを赤々と照らす太陽は、テスター達の戦いの疲れを癒すのに十分すぎるほどだった。 ~オアシス~ かがみとこなたはオアシスまでたどり着いた。 しかしこなたは途中で立ち止まった。 「さぁ、早く行こう」 かがみはそう促した。 「ありがとう・・・。でも、あたしは一緒に行けない。」 かがみは耳を疑った。 「何・・・。」 ―――――何言ってるの? そう言い掛けてこなたへ近づこうとしたときだった・・・・。 「こないで!」 こなたの叫びと共に2人の前の大きな壁が立ち上がった。 いや、2人の前だけではない。オアシスの全体を取り囲んでいた。 壁の向こうからこなたの声が聞こえた。 「はやく・・・いきなさい・・・」 声から泣いていることが分かった。 かがみの足元が透け、崩れていく。ログアウトが始まったのだ。 「すぐもどるから。まってて。」 ―――――必ず君を助け出すから・・・・! 残されたこなたにみゆきが近づいてきた。 「ちぃ、間に合わなかったようですね。だがアナタだけでも殺してさしあげます。」 そういって、剣を構えこなたの方へ飛び上がった。 「あんたなんかに・・・・・。 あんたなんかに殺されるもんかーーー!」 そういって、構えたもの。それは光る武器「ライトニングアロー」だった。 みゆきは不意をつかれ、その弓をかわすのが精一杯だった。 「どこにいったのです!?」 一瞬の隙に、こなたは視界から消えていた。 「裏切り者がいたか・・・・・・!」 みゆきは奥歯をギリリと噛み締めた。 ~現実世界~ 「被害者の状況は?」 「はい。全員どうにか一命は取り留めたようですが、まだ40%の方が意識不明です。」 「そうか・・・・。このプロジェクトは失敗だ」 桜庭博士はそうつぶやいた。 「ですね・・・・。仮想世界での死が直接、現実世界での死につながりかねません。」 「夢を夢と見抜ける人でなければ生き残るのは難しいでしょうね。」 研究員達はため息をついた。 「せめて誰か一人でもログアウトできれば、状況が分かるのだが・・・。」 桜庭博士がそう言ったときだった。 “プレイヤーログアウト。IDNO.OCEAN。確認してください” 突然のことに研究員達は、慌てて持ち場に就いた。 「ID:OCEAN。プレイヤーNAME:カガミ。ログアウト確認。カプセルオープン」 「よくログアウトできたなぁ」 などと、かがみは研究員達に誉められていたが、かがみは内心かなり急いでいて、かなりいら立っていた。 「博士・・・。桜庭博士は・・・?」 「何だね?」 「システムコントロールのプログラムを誰が持っているかを教えてください」 博士は驚いた。 「な、なぜ君がそれを!?」 「こなたという子から聞きました。」 「こなたが・・・・。あれはみゆきが持っているはずだが・・・・。まさか君!?」 「私は・・・、私は約束したんです。こなたを守ると。だから・・・・。」 「死ににいく気か!?自殺行為だぞ!」 研究員達がそれを静止しようとするがかがみの決心は固かった。 「わかった。だが条件がある。今の状況を聞かせてくれ。」 「博士!?」 「街は壊滅状態です。今私の仲間が生存者を確認しています。」 「そうか・・・・わかった。ではログインを・・・」 「博士!?何を言っているんです!だいたいし・・・」 それ以上は何も言うなと言いたげな目でにらまれた研究員は黙るしかなかった。 「今あちらは夜だ。少しだがAI達の戦闘能力が上がる。 ・・・・死ぬなよ。」 「はい」 カプセルは閉じられ、かがみは再びNLCへログインした。 ―――――待っててこなた。今行くから・・・! 「なぜ行かせたんです!?」 不満が爆発した研究員が叫んだ。 「彼女の決意は固く、かわりそうも無かった。とめるだけ無駄だろう?それに・・・・」 「それに?」 「それに発見があった。こなただけ、暴走していない。これは確かだ。」 「!!」 「そしてこれは私の勝手な推測だが・・・。おそらく彼女はこなたに恋をしているようだ。」 「な・・・」 研究員達はあっけにとられた。 「それじゃあ彼女は、幻を守るためだけに戻った、と?」 「それだけとはいえないが・・・・。 だが“君達”から見れば幻を守るために戻ったといえるかもしれないな・・・」 「我々からって・・・?」 博士はあのことを伝えるか否か迷ったが決断した。 「着いて来なさい。」 ~AI管理室~ 部屋に置かれたコンピューターにそれぞれ 「MN(モナー)」「MK(みゆき)」 などと書かれている。 博士はそのうち「KT(こなた)」と書かれたコンピューターの前に立ち止まった。 そのコンピューターの横に鍵穴がある。 「この鍵で開けてみろ」 博士は研究員に鍵を渡した。 ガチャリ 鍵が開き、扉を開いた研究員達は驚愕した。 「こ、これは・・・!」 その中にはカプセルがあった。 そしてそのカプセルには青い髪をした少女の姿があった。 ~NLC~ かがみは再びNLCに戻ってきた。 仲間と、こなたとの約束のために。 道路のあちらこちらで火が赤々とあたりを照らしていた。 みなみとやまとはもうボロボロだった。 「みなみさん・・・・大丈夫・・・?生きてる・・・?」 「そっちこそ・・・・・」 「ふふふ・・・・」 「そろそろ終わりにしようか。」 「がんばってたんだけどね~」 そういうと、白石は「ライトニングカッターウィップ」を構えた。 ―――――もうダメ・・・・ やまとがそう思ったときだった。 「待ちな!」 「いくよあんた達!」 「はいっス!」 「ソロソロ幕引キデースシライシ!」 アニ研メンバーの3人は白石に襲い掛かった。 ひよりとパティはすばらしいパンチとキックのコンボを雨霰を浴びせる。 そしてこうは、「ライトニングカッターウィップ」をものともせず、華麗なステップを踏んでそれをすべてよけきって見せた。 「うらぁぁぁぁぁ!」 こうの渾身の一撃がものの見事に決まり、白石NO.1は大きく後ろに飛ばされた。 そして・・・・・ ガシャ・・ガラガラ・・・・ 「WAギャァ~~~~~~・・・・」 NO.1は金網を突き破り屋上から転落した。 パティは珍しくひよりより速く相手をKOしていた。 ひよりはてこずっていたが結局・・・・・・ ドン! マグナムを撃って終わらせた。 「大丈夫?」 「何とか・・・。ね?やまとさん?」 「なんとか・・・・」 こうたちは一安心した。 ~高架橋~ 「く、来るぞ!」 一方のみさお達は、高架橋でモナーとつーを相手にしていた。 ピストルを連射するるものの、あまりのスピードのためかすりもしない。 「アヒャヒャヒャ!そんなもんが・・・・・」 「当たるわけないモナーーーーーー!」 つーは無造作に「ライトニングダガー」を投げつけた。 みさおは足に、あやの・ゆたかは腕に命中した。 そんな中、ゆたかだけが右手にピストルを握っていた。 つーは止めを刺すため「ライトニングダガー」を発生させ、肉迫した。 「そんな簡単に・・・やられないんだから!」 ゆたかは持っていたピストルを突き出し、そして・・・・撃った。 「アヒャ・・・・」 つーは後ろに大きく飛ばされたが、その後ろからモナーが跳躍してきた。 「油断大敵雨霰モナーーーーー!」 モナーは「ライトニングハルバート」を振り回しながらゆたかに迫った。 ゆたかは反射的に両腕で頭をかばうようにした。 「ライトニングハルバート」が、振り下ろされようとしたときだった。 ドゴォォォン! 頭上で大きな爆発が起きた。 向こうに白いものが落ちていくのがみえた。 「油断大敵はお前だ!」 「何もやってないお前が言うな。大丈夫か?」 ななこ達だった。 ゆいの手にはバズーカが握られていた。その砲口からは煙が立ち上っていた。 「まぁなんとかな」 「助かったよ・・・お姉ちゃん」 「ん?何か来る?」 白石NO.4~7だ。 「いくでおまえら!」 ななこが合図すると、一斉に火器を取り出した。 ―――――バズーカ・ロケットランチャー・サブマシンガン・ショットガン・・・・。 どっからそんなモンを・・・(汗 白石に向けて連射を始めた。 流石のAIもアレだけの数を撃たれると勝ち目は無かった。 バズーカが直撃し、ロケランで地面に着弾してバランスを崩したときにショットガンで撃たれ、 サブマシンガンをよけきれずに穴だらけになり、最後は・・・・。 「何もしないのは、いやなんだから!」 ゆたかのピストルが命中した。 程なく戦闘は終結し、皆胸をなでおろした。 かがみは、NLC中でこなたの姿を探していた。 でも、見つからない。 どこにいるのか見当が付かない。 はじめてあった場所に行ってみた。 でもここにもいない・・・。 「どこにいるの・・・。こなた・・・」 かがみはふと目に入った公園に、フラフラと吸い込まれるかのように入っていった。 荒れた芝生・折れた木々・壊れた像・・・。 公園の中は悲惨な状態だった。 そんな中、一際目立つ青色が見えた。 「っ!こなた・・・!」 かがみは駆け出した。 ~つかさ~ つかさはモナーに敗れ、駅から外へ出てきた。 街の中をフラフラ当てもなくさまよっていた。 おそらくこの状態でAIに遭遇したら抵抗すらできなかっただろう。 「いたい・・・」 落下したときの傷は癒えず、まだ血が出ていた。 「こなた・・・!」 向こうのほうから声が聞こえてきた。 (・・・お姉ちゃん!?何でお姉ちゃんがここに?大体こなたって誰?生き残りのひと?) その声が聞こえた公園のほうに目を上げた。 つかさのいた大通りから、かがみの紫色の体が見えた。 こなたの青色の体も。 そのときつかさは見てしまった。こなたの尻尾が動くのを。 (人には尻尾は動かせるわけない。なら・・・。まさか・・・!) つかさはとっさに叫んだ。 「お姉ちゃん、その子から離れて! その子は・・・。AIだよ!」 かがみはそのとき伸ばした手を反射的に引っ込めた。 「え・・・?」 こなたは下をうつむいている。 「ごめん・・・。悪気があったわけじゃないの・・・。 黙っててごめんなさい・・・」 3人の周りに沈黙が流れた・・・。 ふいにこなたが何かにはっとしたように顔を上げた。 (これは・・・殺気・・・!?) 「見つけました・・・。やっと見つけましたよ、裏切り者。そしてあの紫色の方・・・。」 みゆきはにやりとした。 「かがみ・・・。ごめんね・・・。」 (あなたが大好きだから・・・。あたしが守ってみせる・・・!) かがみの両手が光り、光る弓が現れた。 「ハハハッ!そんな弓ごときで、私がやられるかァァァ!」 みゆきはこなた達に向かって走り始めた。 それに応じてこなたも矢を放つ。 しかし、矢が届く頃にはもうみゆきはいない。 「遅い、遅い遅い!そんなものがあたるかァァァ!」 みゆきは大きく前に跳躍した。 (・・・今だ!) こなたは一度に撃てる最大の量の矢を放った。 矢はみゆきに向かって進んでいく。 その矢がみゆきをハリネズミにしようとしたその時。 「ふん。ザコが!」 みゆきはすべての矢を一振りでなぎ払った。 かがみはオーシャンブレイドを出し、みゆきに向かった。 みゆきに切りかかるが、みゆきはそれを剣で受け止めた。 「なぜアナタはあいつを守ろうとするのですか?あの子はAI。アナタの敵のはず」 かがみは迷わず言い放った。 「確かにそうかもしれない。だけど、こなたは・・・私の大切な人なのよ! それに・・・それに約束したんだ!」 かがみは思いっきり体重をかけ、自分が弾き飛ばされながらみゆきを弾き飛ばす。 かがみは着地と同時にみゆきへ向かっていった。 それと同じタイミングでみゆきも向かってくる。 「絶対・・・守るって・・・!!」 かがみは剣に勢いと全体重を乗せ、みゆきをなぎ払うように振り切った。 「くっ・・・!」 みゆきは大きく空へ弾き飛ばされた。 それを見たかがみは、ビルの壁を全速力で走りそして・・・蹴った。 みゆきにどんどん近づいていく・・・。 みゆきは体制を崩したままだ・・・。 (いける・・・!) そう確信して剣を振った。 「その程度ですか・・・。アナタも・・・。」 みゆきは突如背後に現れた。 後ろを振り向いたかがみはとっさに剣を構えた。 その直後、みゆきは剣を振り下ろしていた。 「っ・・!?」 かがみはすさまじい勢いで叩き落された。 アスファルトがめくれあがり、一種のクレーターのような状態だった。 剣はどこかに弾き飛ばされていた。 かがみは再び剣を出そうとした。 しかし、みゆきはかがみに向かって剣を投げつけていた・・・。 終わった・・・。 そう思うヒマもなく、剣は振ってきた。 かがみには剣が突き刺さる音だけが聞こえた。 かがみは死んだと思った。でも・・・ (痛くない・・・) ゆっくりと目を開けた。そして、到底受け入れることのできない現実を見てしまった・・・・。 「かがみ・・・だいじょ・・・ぶ・・・?」 「ぁ・・・あぁ・・・」 (嘘よ・・・) 「よかっ・・・ぶじで・・・」 (そんな・・・嘘よ・・・。 嘘よね・・・? 嘘であって・・・) 「ごめ・・・ね。こ・・なことしかできな・・・て・・・」 こなたは微笑を浮かべながら、すぅっと消えて光の玉となって、かがみに降り注いだ。 私は・・私はっ・・・! こなたとの約束を守れなかった・・・! かがみは己の無力さを嘆き、悔しさから、右手を強く握り締めた。青い光をつかむかのように・・・。 「裏切り者は死にました!ついに・・・我が願い成就せり!」 高らかにみゆきが叫ぶと空の色がまるで血のように赤く染まった。 「あとは残りの人間どもを血祭りに・・・!」 そう言ったときだった。 突然激しい光があたりを照らした。 (あたしが力になるから・・・。あいつらを止めて!) 光の中心はかがみがさっき倒れていたあたりだった。 そして、光の中から現れたのは現実世界とほぼ同じ姿のかがみだった。耳と尻尾がある以外は・・・ 右手には、青く光る剣「ノーザンライツ」を握っていた。 「な、何ですって?現実世界とのリンク!?」 ありえない、いやあってはならないことだった。 現実世界とのリンクは厳重にプロテクトされているはずだ。 ~現実世界~ 「か、がみさんのリンクを確認しましたっ!」 「な、何だと!?」 なぜプロテクトされているはずのリンクができた!? 「こ、これは・・・?」 「どうした!?」 博士は画面を覗き込んだ。 ハカセ、スミマセン。カノジョラヲトメマス。プロテクトヲカッテニハズシテスミマセン コナタ 「・・・なるほど」 まさかこなたがはずせるとは思わなかった。 でも・・? なぜ外せたんだ? そんな疑問が博士に浮かんだ。 「容量のリミットには十分にありますが、負担は大きいですね。」 ~NLC~ 「許さない・・・」 かがみは駆け出した。 かがみの放つ一撃を予想してみゆきは反射的に身を退いた。 その直後だった。かがみの青く光る剣が振り下ろされたのは。 かがみの一撃はみゆきが予想した通りの軌道を描いた。 しかし予想外、いや、想像だにしていなかったことが起こった。 振り下ろした剣が猛烈な衝撃波を発生させ、ビルの一部を倒壊させたうえに、みゆきも大きく飛ばされた。 みゆきはかがみのスピードとパワーが桁外れに上がっていることに驚愕した。 崖付近に着地したみゆきは慌てて剣を出した。 そのときにはもうかがみはみゆきに接近しつつ既に攻撃の構えに入っていた。 「調子に乗るなっ!」 みゆきは剣を大きく振った。 かがみはそれを回転しながらみゆきの背後に飛び、かわした。 「はぁぁぁぁっ!」 かがみは背を向けたままバックハンドで剣を振った。 みゆきも応戦して同じように剣と剣を交える。 だが、みゆきは大きく吹っ飛ばされた。 「なに!?」 明らかにみゆきは押されていた。かがみの気迫に。 かがみは間髪いれず畳み掛ける。 雨霰のごとく攻撃を繰り出し、みゆきに攻撃させる暇を与えない。 みゆきは次第にじりじりと後退していく。 そして、ある一撃を放ったときだった。 2人は剣を交えながら、崖から落ちた。 落ちていく方向の先に高いビルの屋上があった。 (ま、まずい・・・・!) みゆきはあせりながらもどうすることもできなかった。 2人はみゆきが下の状態で落ちていたのだ。 それはみゆきが直接受けるダメージの大きさが大きくなることを意味する。 そして、そのときはやってきた。 2人はビルの屋上の大きな天窓を突き破った。 そのときにみゆきはダメージを受けたのだろう。 「バ、バガな・・・。ごのわ”だしがぁ・・・」 音声が異常をきたしていた。 かがみは最後の一撃を撃つため剣を構えた。 「これで・・・・。終わりだぁぁぁぁぁぁっ!」 かがみは剣を振り下ろした。 大きな青い光の柱が立ち上るのをNLCにいた人々は見た。 ~現実世界~ 「制約が解除されましたっ!」 「ただいまより、強制ログアウト作業に入ります!」 ~NLC~ (終わった・・・) かがみは落下しているように思えた。そう、こなたと別れたあのときと同じように。 ふとかがみの体から光が出てきた。 その光は形を変え、こなたの姿になり、そして人の形になった。 「ありがとう・・・。かがみのおかげで彼女らを止めることができた。」 「こなた・・・」 かがみは手を伸ばした。 それに呼応するようにこなたも手を伸ばす。 あともう少しで手が届くというところだった。 こなたの体が消えていくのだ。 「ごめんねかがみ・・・。本当ににありがとう・・・。あたしの大切で大好きなかがみ・・・。」 こなたは微笑みながら消えていった。 「こなたぁぁぁぁっ!」 そして、かがみの視界は暗くなった。 「・・・ん。お姉ちゃん・・・」 誰かの声が聞こえた。 「起きてお姉ちゃん・・・」 目を開けるとつかさの姿があった。 「おかえり・・・」 それは現実世界に戻って来たことを意味していた。 「た・・だ・・・いまっ・・・」 かがみの目から涙があふれた。 守れなかった約束・・・。 「お姉ちゃん・・・」 つかさは自分にしがみついて泣くかがみにかける言葉を見つけることができなかった。 「かがみ君・・・」 桜庭博士が不意に近づいてきた。 「君に話したいことがある。ついて来てくれ。」 真実を話すときが来た。 かがみやつかさ、みさお達は、博士に連れられてAI管理室に来た。 当然ながら行き先は・・・ こなたのコンピューターの前だ。 博士は、例の扉を開いた。 それは、かがみにこなたの真実を知ってほしいからだった。 「こなたっ!」 かがみはカプセルにすがりつくように泣きだした。 それは、周りから見るとその姿を知っているかのように見える。 「お姉ちゃん知ってるの?」 つかさがたずねた。 「ログアウト直前に・・・」 かがみがぼそりと聞こえるかどうかの声でつぶやいた。 「こなたは・・・」 博士が口を開いた。 「こなたは、もう2年半眠り続けている。 いわゆる植物状態でな。 偶然それを知った私が身寄りの無かったこの子を拾ったんだ。 今、実年齢は18になる。」 「18・・・」 誰かがそうつぶやいた。 それは、かがみと同年齢だ。 「原因は交通事故らしい。両親は2人とも亡くなったそうだ・・。 親戚もあまり引き取りたがらなかったらしい。理由は分からんがね」 「それで・・・」 かがみがいきなり割って入った。 「それで、なぜNLCにこなたがいるんですか・・・?」 それは誰もが気になっていることだった。 「・・・。参加させたのは実験が成功してから。 もしかしたら、この子が目を覚ますきっかけになるんじゃないかと思ってな・・・。」 「だから・・・?」 かがみがいきなり声を荒げた。 「だからってこなたをこんなことに巻き込んで、こなたを傷つけて、挙句にはっ・・・!」 かがみはその先を言いたくなかった。 しかし、激情のまま口に出してしまった。 「挙句にはこなたを失ったのよ!?」 「お姉ちゃん!」 つかさが静止に入った。 「かも、しれんな・・・。」 博士がぽつりと言った。 「参加させなければこんなことにはならなかったかもしれん・・・」 そのときだった。 コンピューターの電子音が部屋に響き渡った。 「AI“こなた”ヨリ、人格“こなた”ガ転送サレマシタ。 本体、体温正常。問題ナシ。ログアウト開始・・・」 その部屋にいた全員が耳を疑った。 「ログアウト・・・?」 誰かがそうつぶやいた。 「それに、人格って・・・?」 カプセルが開いていく・・・。 それに近づいていくかがみ。 博士は、独り言のように言った。 「たとえ、ログアウトに成功したとしても、意識が戻るとは限らない・・・。 だが・・・。 だが、許されるのであれば・・・、奇跡よ、起きてくれ・・・!」 カプセルが開ききった。 「こなた・・・?」 カプセルに横たわる青色の髪をした女(ひと)。 かがみはこなたの傍らにかがみこみ、彼女の手を握る。 「こなた・・・」 もう一度、彼女の名前を呼んだ。 彼女の手は、NLCで手を取って共に走ったときと同じように暖かい。 そのときだった・・・。 「こなた・・・?アンタ・・・?」 かがみは確かに感じた。 かがみが握っていた手が動いた。 そして・・・。 「ううん・・・?」 目が・・・、ゆっくりと開いた・・・。 「あれ・・・?ここ、どこ?」 こなたは、場の雰囲気に似合わないことを言った。 大歓声があがった。 まさに奇跡。 悪夢が奇跡を生んだ。 「こなたぁぁっ!」 かがみは、握った手を顔に寄せ、大粒の涙を流した。 「君は・・・?」 「かがみ・・よっ」 涙声でそう言った。 「・・・ほんと、あの時とほとんどかわんないや。 あの時はあたしも必死でわかんなかったけど・・・。 かっこいいね。かがみって。」 「誉めすぎだって・・・」 「・・・からだが動かないんだけど・・・。何で? ここどこ?今何時?」 こなたは少し混乱していた。 無理も無い。 2年半の空白があるから・・・。 かがみは状態を持ち上げて座らせた。 「私が説明するよ。」 博士がそばに寄ってきた。 「これを聞くのは少々、こなたには酷かもしれない。 でも、あえて事実を告げよう。 ・・・事故にあったのは覚えてるね?」 こなたの体がびくっと動いた。 「・・・はい。そこまでは・・・。」 「今はその事故があってから2年半後。 君はずっと眠ってたわけだ。」 「あ、あの・・・。父と母は・・?」 博士はしばらく黙り込んだ。 背後では、博士・かがみ・こなたの間に流れる空気とは裏腹に、ドンチャン騒ぎになっていた。 沈黙ののち・・・。 「・・・亡くなったよ。」 口を開いたのはかがみだった。 「私は詳しくは知らない。 博士が知ってる。」 「博士・・・?」 そうだ、こなたは博士を知らないんだ。 「私だよ。 すまない、私も詳しくは分からないんだ。 君の両親、即死状態だったらしい。」 「・・・。」 「そう・・ですか・・・。」 こなたの顔には、どこかそれを分かっていたかのような顔があった。 「遺骨は、どうなりました?」 「家のお墓にあるらしい。場所は君が知ってると思う。」 強い子だ。 かがみはそう思った。 涙を見せない。 でも、表情は暗かった。 「体が思うように動かないのは、筋力が落ちてしまってるからだろう。 そのうち、元に戻る・・・。」 「・・・はい」 「お姉ちゃん。」 つかさが声をかけてきた。 「先に、帰ってるね。」 「あ、うん。」 つかさが帰ると言い出して、気がついたことがあった。 「・・・こなたはこれからどうするんですか?」 こなたのこれからのことだ。 「・・・私のところには、おそらく置いておけない。 このことの処理に追われるからな・・・。 かまってやれなくなる。」 「・・・?」 「こなたはこれからどうしたい?」 かがみはこなたに問うた。 「これから・・・? ・・・。 わかんない。」 博士がつぶやいた。 「・・・病院か、施設か・・・。 もしくは・・・。」 「もしくは・・・?」 次の一言に、かがみはすっとんきょうな声を上げた。 「かがみ君のうちにいくか、だ。」 「はぇ!!!?」 「いいアイディアだと思うんだが・・・?」 「ちょっと、待ったぁぁぁ!」 かがみはいきなりの事態についていけていない。 「それ、こなたが嫌がるでしょ!?」 「ふむ・・・。いいアイディアだったと思ったんだが・・・。」 そのとき、しばらく口を挟まなかったこなたが口を開いた。 「あたし・・・。かがみのところにいたい。 というより、居させて?」 かがみはしどろもどろに言った。 「ぇ・・・。そんなんで、アンタほんとにいいの?」 「うん・・・。だいたい病院とか一人でいたくないし。」 こなたはすこし苦笑いしながら言った。 「決まりでいいな?」 博士が確認を取る。 「はい。」 「・・・わかった。」 こなたがうちに来る・・・・。 「でも・・・、ホントにいいの・・・?こなた」 かがみは、信じられなかった。疑うと言う意味ではなく、あまりにも驚いたためだ。 「うん。 一人で居たくないし・・。かがみのそばにいたい。 いや、いさせて?」 「・・・分かった。」 とにかく、こなたは今歩けない。 そこで、みさおの車で送ってもらうことになった。 とはいえ・・・。 まだ室内は、大盛り上がり。 しばらく様子を見るか・・・。 「・・・」 ・・・ヒマだ(泣 そんな時、突然こなたから声をかけられた。 「かがみ?お願いがあるんだけど・・・」 「ん?何?」 「外の空気を吸わせて・・・?」 かがみとこなたは博士に了承を得、エレベーターで屋上に上がった。 なぜ屋上かというと、ただ単純に空に近いからだった。 ~屋上~ 「ん~~~~っ! 外はきもちいなぁ」 こなたは笑顔を見せた。 人ばっかりで緊張していたんだろう。 外はもう夜だった。 空は晴れ渡り、満天の星空が見える。 屋上で、2人ははしゃいだ。 といっても、こなたは動けないので話が盛り上がったわけだが。 まるで、長く離れ離れだった恋人同士のようだった。 2人は並んで寝転んで、星を眺めていた。 「かがみ・・・?」 「ん?」 「ありがとう あたしと出会ってくれて、助けてくれて」 「いやいやそんな・・・」 かがみは照れくさかった。 なにせ、恋愛経験ゼロだったから。 だが、確実に2人の距離は急激に縮まっていた。 「これからも、ずっと一緒にいようね?」 「え・・?それってどういう・・・」 「ん~・・・。こういうことかな? よいしょ・・・と」 こなたはうまく動かない、体を動かしたと思うと次の瞬間だった。 チュ・・・ 「へ・・・?」 「・・・」 いきなりのキスだった。 「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」 「うるさいなぁ・・ 恥ずかしいんだから・・・」 そして、その様子を見ていた女が一人。 「よかったね、お姉ちゃん・・・。」 紫の髪をなびかせて、彼女は階段を下りていった。 2人が下の部屋におりても、あいかわらずだった。 ・・・いつまでやってんだこいつら・・・。 嬉しいながらも、心の中で突っ込みをいれるかがみだった。 そのあと、つかさの声かけでようやく騒ぎが収拾した。 博士と挨拶を交わし、ビルを出た。 博士は、寂しそうな目の色をしていた。 別に酒を飲んでいたわけではなかったので、みさおに乗せて行ってもらった。 ~かがみ宅~ 「ありがとう、みさお」 「おう、またな」 「みさちゃん、早く帰らないとアノ人に・・・」 あやのが、不安げに言うと飛んで帰っていった。 「さて、どうするかな・・・」 部屋割りだ。 「とりあえず、風呂だけど・・・。 こなた、どうしよう?」 かがみが聞くと 「ん~・・・。かがみと」 「チョッ・・。それは・・・エート・・・。」 結局、家にこう達をよび一緒に入ってもらった。 着替えもついでにもらってしまったのだが・・。 部屋は、つかさはいつもどうり。 こなたとかがみが一緒に寝ることになった。 ~かがみの部屋~ もともと、かがみはベットで寝ていたので・・・ 一緒のベットで寝ることになった・・・。 「おやすみ」 「おやすみ・・・」 いつもと違うのでかがみはどきどきしていたが、かなりの疲れがたまっており、すぐに眠りに落ちた。 寝れないのはこなたのほうだ。 「かがみ・・・?」 呼んでも返事はない。 「もう・・・」 こなたはいろいろ考えた。 今までのこと、かがみのこと、これからのこと。 どのくらいの時間が経ったのだろうか。 かがみの近くに少し体を寄せて、眠りに入った。 ~~翌朝~~ 珍しく一番早くつかさがリビングへ現れた。 そしてテレビをつけた。 「・・・そういえば、昨日あんなことあったんだなー・・・」 いまでも不思議だった。 「・・・あの子いるんだったっけ 起こしたほうがいいのかどうか・・・」 ああだこうだ考えて結局起こしに行った。 ~かがみの部屋~ こなたはもう起きていた。 「あ、おはようございます」 「おはよ 敬語じゃなくていいよ。これから一緒に生活するんだし」 「うん」 こなたは苦笑いした。 「さて、お姉ちゃんはどうするか」 「起きないの?」 「うん、叩いても起きないと思う お姉ちゃん!起きろ!」 「・・・」 相変わらず反応なしだ。 「かがみ、いや、かーがみん。おきて?」 こなたが起こしても反応なし。 あきらめて、部屋からかがみをリビングへ連れて行こうとしたときだった。 「・・・かがみ!起きてよ、このバカっ!」 「・・・!」 かがみが飛び起きた。 「おはよ」 こなたは笑顔で言った。 「お、おはよ・・・」 ・・・先が思いやられるな・・・。 この先のことが不安になった、つかさだった。 数年後、かがみとこなたは結婚(?)した。 「かーがみん。起きて?」 「ううん。。。あと5分・・・」 「・・・起きんかいっ!!!」 「☆○%&@#$!?」 かがみは飛び起きた。 こなたは、怖かった・・・。 「・・・おはよ」 でも、そのあとの笑顔にかがみは全部許してしまうのだった・・・。 (情けないわね、私・・・泣 でも、なんだかんだでお互い助け合い幸せな生活を送っている。 こなたも、厳しいこと言ったりするが、かがみに対する感謝の念は捨てたことがない。 喧嘩にはなったことが無いらしい(かがみ談 桜庭博士はと言うと、Nightmare lucky City計画はあの日を境に中止になった。 しかし、ロボットの人工知能に関する研究の第一人者として、いまだに第一線で活躍している。 ちなみに、人工知能を始めて搭載したロボット名前は、「KT」と名づけられた。 Nightmare lucky Cityは、AIのデータだけを残しすべて削除されたそうだ。 AIのデータは、ロボットの人工知能に転用され何事も無く運用されている、らしい。 あやのは、みさお兄と結婚したそうだ。 結構幸せな生活を送っているらしい みさおは、どこかでスポーツインストラクターをやってるとか、やってないとか。 ゆたかは、絵本作家になったそうだ。 つかさは、調理師になったらすぐ家を出て行った 2人の新婚(?)生活を邪魔したくないとか言って・・・ こうは、ほかの仲間と共にマンガ家になったようだ。 評判も上々とか。 みんな一人ひとり、それぞれの道を歩き出した。 そうそう。 かがみ、最近人の役に立つ仕事をやってるって話。 どんな仕事なのかね? それは、かがみ達が知ってること。 君が聞いてくるといいよ。 【終わり】 こなた「次回!―――」 かがみ「ちょっとまて! これで終わりだろ!」 こなた「いや、まだあるよ NLC撮影後の話がね。」 かがみ「まじかよ・・・」 *マジで撮影後の話やります
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「真っ二つの刑っす!」 長所:頭が良くきれる 短所:話を聞かない 好き:切り絵 嫌い:ジャンケン カプコンのアクションゲーム『ロックマン』シリーズに登場する敵キャラクター。 初代『ロックマン』に登場する6体のボスの内の一体。 紅白を基調としたデザインで、頭に大きなハサミが付いている。 正式名称は「DRN.003」。つまりライトナンバーズの3体目である(厳密には4体目で、000のブルースが最初の一体目)。 001がロックマンで、002がロールであるため、6体のボスの中では最年長。 ボディはロックマンと同タイプの物が使用されている模様(裏事情を言えば容量の節約のため、色違いの同じものを使い回している)。 元々は森林伐採用にライト博士が作ったロボットで、特殊合金であるセラミカルチタンで出来たカッターを使う (余談になるが、ロックマンの世界において「セラミカルチタン」は広く用いられており、カットマンの鋏だけが特別製なわけではない)。 そのため、身軽な上に風雨に対する耐性も高い。その代わり、衝撃には弱くなってしまった。 ステージはやや難しいものの、攻撃パターンは頭のカッターを投げつける技と体当たりのみ。 カッターのスピードは遅く、落ち着いてかかればそれほど苦労はしないので、一番最初に倒したプレイヤーも多いであろう。 倒すと特殊武器「ローリングカッター」を入手出来る。 ちなみに、『ロックマン2』に登場したメタルマンはカットマンをベースに製作されたロボットで、機動力と連射性に特化している。 弱点は「スーパーアーム」の岩投げ。2発で撃沈するが、再戦時には岩が無いため弱点を突く事は出来ない。 ちなみに、ロックバスターで3ダメージ入る唯一の敵だったりする。 ゲームボーイの『ロックマンワールド』にも登場したが、こちらではロックバスターのダメージ低下、アルゴリズムの変化、 バスターを当てても怯まない、部屋(というか画面)が狭い、等の要因によりかなり強化されている。 ちなみにこちらではガッツマンとボンバーマンが登場していないため、弱点武器は「ファイヤーストーム」になっている。 性格はお調子者で目立ちたがり屋。 『アドベンチャー』では関西弁を喋っていたが、同時期に名古屋弁だったヒートマン同様、黒歴史扱いである。 『ロックマンロックマン』では弟機であるはずのファイヤーマンやエレキマンを「兄貴」と呼んでおり、 ガッツマンを「ガッツの旦那」、ロールを「姐さん」と呼んでいる。アイスマンにだけは何故か強気で、舎弟扱いしている。 普段の一人称は「オイラ」だが、ワイリーと戦う際は「ぼく」になっている。 基本的にローリングカッターはスペアが無く、それ以外の攻撃手段を持たない事から、切り込み隊長(かませ犬とも言う)として描かれる事が多い。 コミックボンボンで『パワーストーン』等を連載していた出月こーじ氏の『ロックマン8』では、 フォルテにローリングカッターを握り潰されて即退場という悲惨な扱いだった。 『ロックマン8』にもSS版のみ隠れボスとして登場し、さらに『ロックマンX8』でもある条件を満たす事で、 ファミコン時代のグラフィックのまま(横から見るとペラペラ)で隠しキャラとして登場する。 そして、こちらでもエックスの特殊武器「スクイーズボム(相手の弾を吸収するブラックホール)」をローリングカッターに当てると体当たりしか出来なくなる。 上記の『ロックマンロックマン』ではローリングカッターがプレイヤー使用時にのみ、二発まで出せるようになった。 余談だが本作のワイリーマシーンは8ボスの特殊武器を使い、それに対応した弱点を持つようになる(要はコピーロックマンと一緒)が、 カットマンの弱点はスーパーアームなため、ブロックを生成出来るガッツマンでない限り弱点を突く事が出来ず、 更にローリングカッターはロックバスターを弾くため、浮遊するワイリーマシーンには攻撃を当てにくい、と本家よりも鬱陶しくなっている。 プレイアブルキャラでは唯一「壁を蹴って登れる」機能が備わっており、ファンの間ではこれがエックスの三角蹴り受け継がれたのではないかと考察されている。 また、本作オリジナルのボス(オイルマンとタイムマン)が追加された事で、 ローリングカッターを弱点とするボスもエレキマンからボンバーマンに変更されており、爆弾を真っ二つにして爆発を阻止する事も出来る。 アーケードで稼動した『ロックマン ザ・パワーバトル』シリーズにも登場。 背景を頭の鋏で切断するというどこかで見たような大技を持つが、本項でも散々述べられているように、 攻撃に関してはシンプルそのものなため、それほど苦労する相手ではない。 欧米版のアニメ『MEGAMAN』では、何故か腹話術の人形のような顔になっていて、しばしば『モンスターファーム2』のチャッキーと言われる。 原作同様、元はライト博士が作ったロボットだったが、ワイリーに改造されて以降は彼の手下として戦う。 出番も多く、よくガッツの旦那やスネークマンとコンビを組んでいるが、 先に倒されたガッツマンの下敷きにされたり、エックスに跳ね返されたサーチスネークに食われる等、とばっちり的なやられ方での退場が殆ど。 ローリングカッターの切れ味は、ヘリコプターのプロペラや鉄道の橋そして自分を容易く切断し、 攻撃よりも天井を切り崩してMEGAMANを足止めする際に用いられた。 + ロックマンに手は出させねぇ。てめえの相手は俺がしてやるぜ!! 有賀ヒトシ(現・ありがひとし)氏の漫画『ロックマンメガミックス』及び『ギガミックス』においては、 出番の多いライトナンバーズの中でも最年長のリーダー格として出番が非常に多く、エレキマンやシャドーマンと並び準主役級の活躍を見せる。 容姿にもアレンジが加えられており、左胸部にライトナンバーズを示す『R』マークが追加され(これは『1』のボス全員共通のアレンジ)、 掌にはローリングカッターを扱うためのスベリ止め処理が施されている。またロックマンよりも高いジャンプをすることを反映し、 ブーツの足回りにはショックアブゾーバーと排熱口が追加…と、ゲーム中の挙動を反映させた有賀氏ならではのアレンジがされている。 武器はゲームと変わらず頭部のローリングカッターだが、投げるだけでなく直接手に持っての接近戦もこなし、 破壊されても腕部をロックマン同様のバスターに変形させ、そこから再補充することも可能。 初出はやはり初代を題材にした「ロックマン誕生」であり、(これまたやっぱり)ライトナンバーズの中で一番最初に倒されてしまった。 その後、「R破壊指令」においては、セカンドナンバーズからロックマンを救うため、他のライトナンバーズと共に救援に現れている。 「R破壊指令」のリメイク前作品である「破壊指令」では、単身ラッシュジェットに跨りクラッシュマン達に挑む漢気を見せた。 また、過去に同じ作者の『ロックマンズサッカー』のコミカライズでもネタにされた事だが、開発順が近いためか首から下はロックマンと良く似ており、 この時に首から上が見えない角度で現れたため、クラッシュマン達が一瞬ロックマンと誤認して驚くという演出がある。そして…。 + 「…おふたりに話がある…。」『ロックマンギガミックス』ネタバレ注意 『ギガミックス』終盤、スペースルーラーズ(ワールド5のボス達)の罠で、ロックは機能停止寸前まで追い込まれる重症を電子頭脳に負ってしまう。 それに対しエレキマンは「心優しいロックを、最後の戦いぐらい開放してあげたい」と言うが、カットマンはどこか納得出来ずにいた。 しかし、彼はロックマンが重症を負ってなお戦う意志を捨てておらず、ライトとワイリーの二人の博士も諦めず賢明にロックマンを修理している姿、 そしてスペースルーラーズという強敵に対して、かつての敵味方がこれまでの禍根を乗り越え団結している姿を見て、ある決心をする。 それは、自分のパーツを流用してロックの修理に使うよう、二人の博士に提案する事であった。 前述のように、パーツのほとんどがロックマンと共通しているカットマンだからこそ出来る提案である。 勿論通常なら人間にとって脳にあたる電子頭脳の入れ替えなど不可能なのだが、カットマンは更にこう提案する。 「ロックのデータを全て吸い出し、自分の電子頭脳に上書きすればいい」。それは当然、カットマンという人格が消える事を意味していた…。 それに対しロボットの「心」を何よりも大切にしているワイリーは猛反対するが、カットマンはそれでも必死で説得する。 「俺は死ぬつもりはねぇよ。只戦いてぇだけさ。──ああ、ロックを生かすっていう…戦いだ!!」 「それに勝つためにはあんたたちの協力が必要なんだ!!頼む!!俺に力を貸してくれ!!」 そして、カットマンのパーツを使い、ロックマンは復活した……。 + ハハハハ!!やったぜ!!ロックが勝ったぜ!!ルーラーズをぶちのめしたぜ!! ルーラーズとの戦闘中、突然こう叫び出すロールちゃん。 実は、博士達はカットマンの心と記憶を事前にロール(彼女もまた、ロックやカットマンと同型である)の電子頭脳に移していたのである。 お手伝いロボットであるロールの電子頭脳にはかなりの未使用領域があったために出来た事なのだが、 勿論余ってるとはいえ一人分の電子頭脳に二人分の心など入らないため、カットマンのデータには物凄い圧縮がかけられており、 再解凍出来るかも怪しかったのである。だから博士達は敢えてお茶を濁していたのだが…。 まあ、なんだかんだで上手くいったため、新しいボディを作って心を移植すればカットマンは復活出来ると言われており、 事実エピローグでは他のライトナンバーズ同様に元気な姿をみせている。よかったよかった。 「キレイ事でもいいじゃねえか。 あんな光景が見れるんならよ…命をかけて戦ってきた価値はあるさ」 「さ 立てよ。こんな所で立ち止まってるなんてお前らしくないぜ!!」 「君は────…」 「昔お前が戦ってくれたおかげで────助けられた一人さ!!」 皆を引っ張るリーダー格である事が多い一方で、短期でキレやすいという欠点もあり、 「R破壊指令」では、敢えてワイリーに投降しようとするエレキマンの真意にウッドマンと一緒に気が付いていなかったり、 「戦士の休日」では遊園地で働くフィフスナンバーズを、「奴らはワイリーロボだから」という理由で何か裏があるのではと疑っていた (尤も、向こうも最初はクリスタルマンが「奴らはライトロボだから我々の邪魔をしに来たに決まっている!」と決めつけていたが…)。 そんな前例があったため、『ギガミックス』の「白い悪夢」序盤、ライトナンバーズに助けを求めに来たシャドーマンに、 他のライトナンバーズが疑いの目を向ける中、ロックと共に冷静に話を聞くよう一喝した所、ファイヤーマン達に「明日は雨だ」と言われてしまう羽目に…。 おまけに、その性格のせいか戦闘シーンで真っ先に倒される事も多く、フォルテやコピーロックマンにはまるで敵わなかった。 しかし、一方でどんな逆境でも諦めないガッツを持っており、コピーロックマンやスペースルーラーズといった強敵達に恐れず立ち向かった。 また、ラッシュと合体してスーパーロックマンならぬ「スーパーカットマン」にパワーアップした事もある。 「うるせえッ! …俺は…今…わかったぜ!お前はロックマンじゃねえ!!」 「…お前がロックのはずがねえ… あの…ロックであるはずは… 俺は…認めねえ!!」 「…たとえ…たとえお前が正真正銘のロックマンでも…本物のロックマンでも…」 「俺は本物と認めねえ────っ!!」} 実はロックマンより先にデザインされたキャラで、元々は彼が主役で頭のハサミで敵や障害物を切り倒していくイメージだったとのこと。 MUGENにおけるカットマン Excursion氏製作のものが存在。海外サイト「Infinity Mugen Team」にて代理公開されている。 ドットのベースはMVCのロックマンらしく、システムもMVC風。 原作には無い技を数多く持ち、ロックマン同様にアイテムの装備で技を切り替えて戦う。 お馴染みのカッターを投げつける攻撃の他、地面から発生する「グラウンドカッター」などがあるため、遠距離での戦いに向いている。 上方に斬りつける「アッパーカッター」もあるため、空中の相手にも対応可能。 他にはウッドマンの「リーフシールド」と思われるバリアーも使用する。また、ストライカーとしてガッツマンを呼ぶ事も可能。 超必殺技の「ハリケーンハイパー」は、高速回転しながら無数のカッターを投げつける派手な技で、 攻撃中は無敵なので、追い詰められた時の反撃としても便利。 また、イントロの一つでは『パワーバトル』の背景を切り裂いて現れる演出が再現されている。 AIもデフォルトで搭載されているが、装備の切り替えやストライカーは使用せず、グラウンドカッターなどの飛び道具を多用する簡易的なもの。 なお、このカットマンはどうやら前述の『MEGAMAN』準拠の設定であるらしく、 アイテム交換の際に呼び出すのがライト博士ではなくワイリーだったり、勝利ポーズではスネークマンが姿を見せたりする。 あと、挑発が凄くウザい。 兄貴に至ってはこれよりもウザい挑発を公式でやらかしているが 出場大会 「[大会] [カットマン]」をタグに含むページは1つもありません。 更新停止中 タッグレース MUGEN・バトル・ラン カットマン.EXE 「い、今二ホンに向かっているシャドーマン隊長の強さは ボクなんて比べ物にならないよ…今のキミじゃ勝てな…ぐわーっ!」 初代『ロックマン』のボスキャラ達の中で唯一『エグゼ1』に出演出来ず、『エグゼ2』の3話のボスとして登場。 ゴスペル所属の自立型ネットナビで、アジーナ攻略部隊副隊長。 作中でも本人のセリフとしてある通り、隊長のシャドーマンが壊滅させた国に生き残りがいないか調べるだけの、後始末的な仕事を担当するという役回り。 ストーリー的には前フリもなく登場していきなりバトル、まるでシャドーマンステージの中ボス。 以後出番なし。外部出演一切無し。原典の彼に比べるとあんまりな扱いである。 アニメでもほぼ同様の軽い扱いで死んでいったが、実は6人兄弟であり、弟達がカットマンブラザーズとしてそこそこ活躍していた。 敵として見ても、厄介な広範囲攻撃を高速移動しながら繰り出して来る他のボスと比べると、 移動速度が遅く、攻撃スピードも遅く、攻撃自体のパターンも単調と、お世辞にも強いとは言い辛い。 中心に岩を配置し、その周囲をカットブーメランらしきハサミが回るという特殊なステージで対決するが、 エリアスチールを2枚使えばほぼ完封状態になったり、中心の岩を破壊してしまえばハサミは無意味になるという有様 (一応、このハサミはこちらの攻撃を弾く効果を持っている上に、設置物を一撃で破壊する能力がある)。 彼のトレードマークでもある頭のハサミ攻撃「サプライズチョッキン」は、威力こそ高いもののロックマンが最前列に居る時しか使用して来ず、 しかも攻撃前と後が隙だらけなので、「最前列へ→一歩下がってロングソード系のチップ」でサクッとパターン攻略される始末。 更に、一つ前のボスであるクイックマンが移動速度が速めで、それなりに強いボスであった事も、カットマンの弱さを際立たせている。 チョキを体現したかのようなキャラだが、固い鋏はパンチ系が効かないし岩をも砕く。 元のデザインを踏襲しつつデザインに変更の入る事が多いエグゼシリーズにおいて、 そのシンプル極まりない外見故か、殆どデザインが変更されていない珍しいキャラでもある。 得られるナビチップの威力が非常に高く、一瞬騙されそうになるが、やはり内容は「目の前1マスに「サプライズチョッキン」を繰り出す」だけ。 一応、事前にプリズムを配置してそのプリズムに当てるなどの工夫で範囲の狭さを補えない事も無い。 ……が、果たしてコードの異なるプリズムとカットマンのチップを使ってまで狙う意味があるかと言うと疑問である。 MUGENにおけるカットマン.EXE 原作のドットを用いて日暮氏が製作したものが存在していた。 2019年のYahoo!ジオシティーズ終了により公開サイトが消滅し、現在は正規入手不可。 「サプライズチョッキン」は射程が短いが隙が少ないため、間近でチョキチョキやってれば固める事が出来る。 ゲージ消費のブーメランは、全段ヒットでほぼ即死する超威力。 出場大会 「[大会] [カットマン.EXE]」をタグに含むページは1つもありません。
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Universal Citywalk Osaka 2010 Football Bear Pin0580218 2009 UCW City Guitar Pin0586021 2006 Countdown Pin 10786718 Countdown Pin 20786719 World Cup Pin 20780115 2005 New Years Pin0786701 Countdown Pin0786718 Hurricane Glass Pin0786726 Yukata Pin0786737 Pin Collectors Party XMAS Pin #10786715 City Guitar Pin0786020 2004 City Pick Pin Rock Of Girl Pin Black0786897 Anniversary Pin A0786762 Anniversary Pin B0786768 2001 November Sumo0786741 Bali Bangkok Barcelona Berlin Cologne Fukuoka Glasgow Jakarta Kobe Kuala Lumpur London Manchester Munich Nagoya Narita Tokyo New York City Osaka Paris Stockholm Tokyo Universal Citywalk Osaka Uyeno-Eki Tokyo Vancouver Yokohama
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月都の古酒/Old Liqur of Moon City 月都の古酒/Old Liqur of Moon City(1) アーティファクト 月都の古酒が戦場に出たとき、カードを1枚引く。 月都の古酒が戦場を離れたとき、あなたはカードを1枚捨て、2点のライフを得る。 参考 月都抄-コモン
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メニュー 音楽聞きますか? 不名曲1 自転車 夢の泉 マサラタウン 激突!グルメレース 森 不名曲7 1面 アイテムバ ウンド ミシロタ ウン 不名曲11 不名曲 12 不名曲13 VS 野生 地上 VS ジムリーダー VSジムリーダー2 VS ヨッシーアイラン ド 不名曲20 名簿 新聞 観覧ツール 制度 CITY構成 SouthWAZAPCITY NrthWAZAPCITY チャット リレー小説※ フラッシュ集※ 学習用リンク※掲示板 ※=北スマ合衆国と同時使用 リンク WAZAP関連 WAZAP NrthWAZAPCITY その他 ゲームセンター 北スマ合衆国 コーポレーションシティ
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AKIHABARA METAL CITY 【投稿日 2006/05/17~】 カテゴリー-他漫画・アニメパロ (前回のあらすじ) なんかクッチーとカズフサに友情が芽生えた。 「べ、別にカズフサさんごときに友情フラグなんか立てて無いんだからねっ!(クッチー)」 「―――と、言うわけでだな、朽木クンよ。アキバに連れて行ってはくれんカネ?」 ここは椎応大学サークル棟。現代視覚文化研究会部室に入ってきたカズフサの第一声がコレだった。 「お断りいたしますにょ。ワタクシ只今エントリーシートを書くのに忙殺されておりますゆえ」 朽木はその言葉を無視したい気持ちで一杯だったが、カズフサを無視するとスネるかで暴れるかで 被害が拡大することが用意に予想できたため、簡潔に断りの理由と言葉のみを口にし、手元の書類へと視線を戻した。 朽木も既に大学四年生。春からの行動とは遅ればせながら、将来に向けて稼働しはじめたのであった。 だいたい、いきなり「――と、言うわけで」と言われてもワケがわからない。 脳内で妄想と計画を膨らませていた、カズフサ本人は別として、だ。 「エントリープラグゥ? いつから朽木クンはエヴァのパイロットになったと言うのダネ? ンン~~?」 毛の先ほども働くことに関する活動をしたことが無いカズフサらしく、エントリーシートの『エ』の字さえ知らないようだ。 「エントリーシートですにょ! エントリーシ・ィ・ト!! ワタクシしゅーしょく活動の真っ最中でありますゆえ、 アナタにかまっている暇はミルモのハナクソほどにもアリはしませんぞ!!」 自身の言葉どおり『構ったら負け』であることが解っているにもかかわらず、 ついつい声を荒げてツッ込んでしまう朽木。ソコがまだまだ若い。 「だーいたい、何でアキバなんですかにょ? 大坂にだって日本橋というオタク街はあったはずアルね! オタ空気を堪能したいなら、そっち行けばいいし、とっととラブ穴とおって平方市にお帰りくださいな!」(*注1) その朽木の突っ込みにメガネをギラつかせながら応じるカズフサ。 「クフゥ……『なぜアキバか』だとォ? よかろう、答えてやろうじゃないかキミィ。 それは一生添い遂げる伴侶を見つけるためダヨ!」 『伴侶』と言う単語を耳にした朽木が怪訝な顔をする。 この男――大森カズフサはこれ以上は無いという位の非モテ系であり 『伴侶』が3次元の彼女を意味することは物理的にありえない。それに加えて3次元を捨て、 2次元キャラに求愛するほどの覚悟も資質も持ち合わせていないのだ。 なら『伴侶』とはどういう意味なのか。朽木が不思議に思っていると、カズフサは続けて口を利いた。 「実はまたオナホール師の殿堂入りを目指そうと思っていてネ。 丈夫で長持ち、しかもキモチいいホールを探そうと思っているのだヨ…… ……そう、一生添い遂げても良いと思えるような奴を! 聞けば、アキバにはビルの全フロアが紳士淑女のための オモチャで埋め尽くされた建物があると言うじゃないかネ! そこに行けばきっと出会える! このオレの泌尿器にジャストフィットす 」 「ストーーーップ!! ストーーーップ!! カズフサさん、アウト、アウトですにょ! 板的にアウトでアリマス!!」 あわてて止めにかかる朽木。そう、ココは21禁板では無いのだ。 「カズフサさん! アンタいい加減にそのシュミどうにかしないとアフタヌーンから追い出されちゃいますにょ!?」 「えー? せっかくヒデヒコから名人のホールハンドリングをマンツーマンで教授し 」 「黙れ無職。二十九歳童貞」 まだグダグダ言うカズフサを切って捨てる朽木。 「クックックッ……その程度の言葉の暴力でオレを葬れると思ったか、クッチーよ? 『無職』も『童貞』も言われ慣れて、もはやビタイチなんとも感じんわ!!!」 そして、そんな情けないセリフを威張りながらカズフサは叫ぶ。 「行くんなら一人で行ってくださいにゃ。椎応大からは立川で中央線に乗り換えて、アキハバラまでは一本アルね」 もはや朽木は怒鳴る気力も失せて『出てけ』という意思表示だけをする。 だが空気の読め無さならカズフサのほうが一枚上手だ、そんなイヤミに臆する事無くマイペースで喋りだす。 「ああそうそう、その中央線」 「は? 中央線がどうかいたしましたかにょ?」 「うむ、実は闇ルートの裏オークションで今夜のD.M.C.のライブチケットをゲットしてな。 ライブハウスがその中央線沿いなのだヨ。アキバでのオナホ探しはオレ的にこのイベントの前座よ!」 事実、中央線沿いにはライブハウスが非常に多い。 「でぃえむしい? カプセルコンピューター略してカプコンのデビルメイクライですかにょ?」 朽木は聞きなれぬ単語に興味を引かれたか、ついつい聞き返してしまう。 「き、貴様ァッ! 帝都・お江戸に住んでおりながらDMCを知らんと抜かすかぁっ?!」 「そんな事申されましても、存ぜぬモノは存ぜませんにゃ。ライブって事はバンドかなんかですカナ? カナ?」 「クフゥ……コレだからインディーズと言ったらサウンドホライズンしか知らないようなボクチャンは困る…… 無知! 無知無知無知無知! 無知とは罪イッ!」 「カズフサさんに無知を指摘されると、そこはかとなくムカ付きますな…… まあ、語りたそーな顔してらっしゃいますし、話くらいなら聞いて差し上げようじゃアーリマせんか!」 実際、朽木もココ数週間の就職活動によってストレスが溜まっていた。 面白そうな話なら聞くだけの価値はあるかもしれないと判断したのだろう。 『ラブやん』作者の田丸氏は大層なメタルッ子であり、 その被造物であるキャラクター達もまたメタルッ子属性を付与されている事が多い。 だからカズフサは語り始めた。ノリノリで。 D.M.C.は「デトロイト・メタル・シティ」の略であり、インディーズシーンの 最エッヂを突っ走るデスメタルバンドであるということ。 プラチナチケットである今夜のライブを取るのに自分がイカに苦労したかということ。 そのDMCのギターボーカルを務める「ウォルフガング・ヨハネ・クラウザーII世」は 本物の悪魔であり、数々の伝説を残しているということを。 そして、全てを聞き終わった朽木はこう言った。 「……ハァ? 悪魔がバンドやってるって、何ですその頭の悪ぅぃ設定は?」 「てめぇソレはクラウザーさんに対する冒涜かぁーーーーッ?! クラウザーさんは生まれた時に『殺してくれ』と発言し、幼き頃に両親をSATSUGAIした 伝説の魔王なんだぞ!」 「カズフサさん……そんなアホ設定を本気で信じてるだなんて……前々から脳味噌が不自由な人だとは 思っておりましたがまさかソコまでとは……もう、ライブでもアキバでも一人で好きに行っちゃってくださいにょ」 そう言い捨てると、椅子に座ったまま反り返るほどに大きく伸びをした。 すると、ちょうど朽木の真後ろに張ってあった『くじびきアンバランス』カレンダーに目が行き――― 「あああああああああああっっっ!!!!!」朽木は絶叫した。 そのまま、反り返りから戻る反動で一気に椅子から立ち上がり『くじアン』カレンダーに向き直る。 見れば今日――四月八日だ――の日付に赤マジックでグルグルに丸がつけられ、こう註釈が入れられていた。 『プシュケ新作[食込戦隊ぶるまちゃん オルタナティブ]体験版頒布会。15時より。秋葉原メッセ前』と。(*注2) 「し、しまったぁぁぁぁぁぁぁっっ! 大事なイベントを忘れておりましたぁっ!!」 「ンン~? いきなり声を荒げてどうしたというのダネ、ハニバニ?」 朽木はのんきに語りかけてくるカズフサの顔を見、悩み、そしてまた見、また悩み、 逡巡を繰り返したが、やがて重々しく、そしてポツリとこう言った。 「二枚」 「は?」 それを、マヌケ面をさらして聞き返すカズフサ。 そんなカズフサを前に朽木は次々口を開いていく。 「二枚ですにょ。二枚。カズフサさん、貴方が一緒に並んで下されば、二枚手にはいるのでアリマス」 「えーと、それはドオイウ?」 「体験版でアリマすよ!! プシュケの体・験・版! 特に本日のイベントは絵師の 直筆色紙が当たるやも知れぬ抽選つきナリ! 二人いれば抽選券が二枚手に入るという寸法アルね!」 言いながらも朽木はカバンを取り、ゴミ溜めの様になっている部室の片隅からビニール傘を発掘する。 午後から雨との予報なのだ。オタアイテムのほとんどが水に弱いことを考えれば、必須装備だといえる。 「えと、朽木クン? 確か就職活動がどうとか……」突如活発に動き始めた朽木に対応し切れていない。 「しゅーしょく活動ですとォ~~?」しかし朽木は『それがどうした!』といわんばかりの表情で切り返し、そして続ける。 「にょっほっほっほっほっほ…確かに人間は労働を行い、それの対価として金銭を得ることによって生きていきますナ。 ですが!! 人はパンのみに生きるにあらず! 食らうだけならケダモノでも出来る! 魂の安寧を得、精神の充足を得てこそ真の人間の生き様と言えるでSHOW!!」 そういう朽木の表情はうっとりとし、瞳孔は開きつつある。明らかに自分の言葉に酔っている。 「なればこそ! 漢ならば今日のイベントは避けては通れぬと言えるナリね!! 就職活動など明日でも出来ますが、プシュケの配布会は今日しかないのでアリマすから!! ボヤボヤしないでとっと参りますぞ!! カモンベイビィゴートゥーアキハバラ!!」 そこまで一気に言い終えると、朽木はカズフサの手を引き、飛び出すかのように部室から駆け出した。 「ちょっ……オレもうトシだからそんないきなりダッシュかまされて――」 連れられて叫ぶカズフサの声もどんどん遠くなっていく。 こうして、本日の現代視覚文化研究会の部室は平和を取り戻した。 (*注1) 『ラブ穴』:「らぶほーる」と読む。ぶっちゃけ『どこでもドア』。ラブやんの便利道具の一つ。 (*注2) 『メッセ』:平たく言うとオタショップ。アキハバラにおけるエロゲーギャルゲーのメッカの一つ。 「ねえ……西田君まってよ~~」 ドン 一方そのころ『首領・きほーて秋葉原店』では二人の青年が買い物の真っ最中であった。(*注3) しかし、西田と呼ばれた男は『待て』という声を無視し、カートに次々商品をブチ込んで行く。 カート内には缶入りクッキー、輸入物の馬鹿でかいコンビーフ、サケ中骨水煮缶、 非常用カンパン、などなどなど、カロリーたっぷりの保存食が山と積み込まれ 今にも崩れんばかりである。 しかしこれらを常食しているのだとしたら、西田という男の体型にも納得がいく。 小太り……いや、コレは肥満の範囲に入る。はっきり言うとデブだ。 他方、声をかけたほうの青年はヒョロ細い体型をしており、いかにも気弱げだ。 そんな青年に西田はボソりと声をかける「トロトロすんな根岸。このクズ」 「酷いよ西田君……クズだなんて」根岸と呼ばれた青年は半ばベソをかいた様な表情でそう答える。 だが根岸の行動が遅いのも無理も無い、何やら背中には大荷物を背負っている。 そんな根岸を無視し『次は飲み物だ』と、ばかりに西田がペットボトルのコーナーで吟味を始めると、 「あ、待って、西田君」と、根岸が声をかけてきた。 声も無く西田が振り返ると、なにやら背中の荷物をゴソゴソいじくり、根岸は一本の大きなビンを取り出した。 中には赤い液体がたっぷり収められている。 「トマトジュースだよ、昨日お母さんが送ってきてくれたんだ。みんなの分もあるよ」 しかし根岸が喋り終わる間も無く、西田はジュースの選別を再会した。 どうやらトマトジュースはお気に召さないらしい。 何とか興味を引こうと根岸はトマトジュースについて語り続ける。 「ウチの畑で取れたトマトなんだ。トマトだけどあまーいよ。 へへっ、アメリカのジャックさんにも送ってあげようと思ってるんだ」(*注4) 「トマト嫌い」あっさり返す西田。うなだれる根岸。 「ところで西田君。食べ物ばっかり買ってちゃダメじゃないかな?」 トマトジュースを背中に戻しつつ、ふと、思い出したかのように根岸が言うと、 西田もピクリと手を止め、ジュースをカートに積める作業を中止した。 「ほら、今夜はライブだし、社長の言い付けどおり、ちゃんとメイク買って帰らなきゃ」 「……代わりに買っとけ」 興味なさげに西田が言うと『またか……』と根岸は心の中で毒づく。 根岸は西田とは付き合いも結構長いのだが、未だに西田の考えている事が理解できていない。 もともと西田が感情をあまり外に出さない性格だと言うのもあるのだが。 そんなことを考えつつ、根岸は数十分前の『社長』の言葉を思い出す。 『いいかい根岸?! 一回しか言わないから良く聞きな!! 西田の野郎のメイクが切れちゃってねぇ。 西田と一緒に行ってちょっくら買ってきな!! アイツは顔だけ塗りゃいい和田やアンタと違って、 ヘタすりゃ上半身全部に塗るからねぇ、安いので良いわさ安いので。ドンキ行きゃお徳用があったはずさァ。 わかったかい? わかったらとっとと行きな! 寄り道してライブ遅れたらタダじゃすまさないよ!!』 『社長』の恫喝を思い出し、根岸はぶるりと体をふるわせた。 あの女性の機嫌を損ねたら本当にタダではすまないのは根岸自身もよーく判っている。 身の安全を確保する為、とっとと本来の用事を済まさねば。 根岸は化粧品売り場でメイクの選別を始めたが、 他人の肌のことでもあり、今ひとつピンと来る商品がわからない。 しかたなく、普段自分が遣っている油性のフェイスペイントを、 いくつかカートにほおりこもうとした、その時 「違う。コレじゃない」 背後から唐突に現れた西田がフェイスペイントを取り上げると、『粉おしろい(お徳用)』と 書かれた缶をじゃんじゃん根岸のカートに積み込み始めた。その数おおよそ20缶ほど。 (……結局自分で選ぶなら最初から来ればいいのに)と、思いつつ、気弱な根岸はそれを言い出せない。 そう思いつつ西田を見れば、腰に大量の食料品が入ったビニール袋を縛り付けている。 どうやら会計を終らせてから、こっちにきたらしい。 メイクの会計も済ませ(根岸はおしろい缶全部持たされた。重いのに)、二人が店の外に出ると、 根岸はふと思い出したように西田に尋ねた。 「ねえ、西田君。そういや僕達なんで秋葉原のドンキなんかに来たの? もっと近いところあったでしょ?」 そう聞かれた西田もまた、ふと思い出したような顔をすると、携帯を取り出し、覗き込み、時間を確かめた。 ―――そして、西田は脈絡無く歌い始めた。 「パピプペブルマが食い込んじゃぅ~♪ 昨日の剃毛吉と出た~♪」 歌詞は心底イカれているが、正直、上手い。 ちょっとした一節を聞くだけでも西田の非凡な音楽的センスが感じ取れてしまう、そんな歌だった。 「ちょっ……西田君止めてよ! こんな人目のあるところで!」 しかし、真横でそんな恥ずかしい歌を歌われている根岸はたまった物ではない。 そんな根岸に気づいているのかいないのか、ご機嫌で歌いながらすたすた歩き出す西田。 根岸もまた、西田の歌を止めようと、必死で追いすがる。 西田が向かうはメッセ山王。現在14時25分の事である。 (*注3)『首領・きほーて秋葉原店』:註釈しつつもあえて解説しない。どこの事だかわかるヨネ? (*注4)『ジャックさん』:元・メタルの帝王の座にあった『ジャック・イル・ダーク』の事。 人間にしてはいい線行っていたが、所詮は人間。クラウザーさんの敵ではなく完全敗北。 ジャックの『伝説のギター』はいまやクラウザーさんの手中にある。 「ぱっぴっぷっぺっブッルマが食い込んじゃぅぅぅぅぅ~♪ きっのぉのてっいもーキチと出たぁぁぁぁ~♪」 そして根岸と西田がドンキを出た頃、秋葉原駅周辺で西田と同じ曲を熱唱している一人の男がいた。 しかし明らかに音階が狂っており、歌詞の異常さとあいまって、まさに聞くに堪えない。 彼こそはご存知、朽木学である。 「おっぱいせいちょうとまらへ~~ん♪ エッチな教師がみていま~~~す♪」 「クッチーよ……もーちょっとこー、ボリューム下げて歌ってくれりゃ、オレが助かるんダガネ?」 迷惑そうな顔をして朽木の横を歩くのは、もちろん本日のツレであるカズフサだ。 朽木はその言葉を耳にするとピタリと歌う口を止め、じろり、とカズフサの顔をねめつける。 「……ふん。先ほどカズフサさんの『買い物』に付き合った時のワタクシの恥辱に比べれば アナタが今感じている感情など、キラ・ヤマトを前とした時のシン・アスカのよーなモノと言わせて頂きますにょ!」 イベントまでは時間があったため、二人はカズフサのほうの『用事』を先に済ませていたのだった。 「シカシダネ? やっぱ実用品だけに色々吟味して買わなきゃならんだろ?」 「実用だからって、店員さんにわざわざサンプルもって来させるナリか?! しかも、持ってきたサンプルに指突っ込んでヒダがどーとか!! シマリがこーとか!!」 往来のド真ん中である事をも忘れたのか、朽木は卑猥な単語の混じった苦言をぶつけてしまう。 すると買ってきた『ブツ』の入った袋をしげしげ眺めながら、カズフサは文句に応じる。 「フムウ、できれば指じゃなくて、ちん「 う る せ え バ カ 黙 れ そ し て 死 ね 」 言い終わるが早いか、怒鳴りつけて後半部分をかき消す朽木。グッジョブ。 「あ、朽木くーん」 ―――ふと、気づけば、朽木を呼ぶ声が聞こえる。 朽木のカン高い上に良く通る声で怒鳴った為か、知り合いに発見されてしまったようだ。 キョロキョロとあたりを見回してみれば、少し離れた路地の方から手招きする人影が見える。 「……え? あの? その……コーサカ……先輩でアリマスか?!」 そう、声をかけてきたのは高坂だった。 朽木が驚いているのは、何も知り合いに偶然出合ったからではない。問題なのはその『格好』である。 「そっちが大森さん? はじめまして高坂真琴です」 カズフサたちが高坂の方へ駆け寄ると、流石は社会人らしく、深々と頭を下げながら高坂は挨拶する。 もっとも、その『頭』には黒いフリルカチューシャがはまっているのだが。(*注5) しかし、挨拶されたカズフサは、なにやら思うところがあるらしく、 高坂をギラリと見つめたまま返答しようともしない。 「えと……その……『それ』は……?」 高坂を指差しながら質問をぶつけ、ちょっとづつ現実に対応していこうとする朽木。 どうやら、両親に『気安く人を指差しちゃいけません!』と、教わらなかったらしい。 「あー、うん。今日はウチのイベントだしねぇ」 高坂はいわゆる『コーサカスマイル』を顔に浮かべながら、にこやかにそう答える。 そしてその『顔』には、メイクが施されていた。 童顔の高坂を良く引き立てる出来となっており、もはやパッと見には少女としか思えない。 濃すぎず、薄すぎず、素人目にもプロの手によるものであろうと理解できた。 「だ、だ、だ、ダークスパッツたーーーん!!」 ―――突然、奇声を上げて、カズフサが高坂に飛び掛る。 しかし、高坂の身体能力からすると、こんな奇襲を避けるくらいは手間ですらない。 ゴ ィ ィ ン ! 高坂が、フリルの付いた短く黒いスカートをなびかせつつ、ヒラリとかわすと、 かわされたカズフサは、思いっきり壁に頭をぶつけた。 そして舞い上がったスカートから見える高坂の太腿は、ぴっちりとスパッツに包まれている。 毛の一本すら生えていないその美脚を、誰が男のモノと思おうか? そう、本日高坂が着こんでいるのは『ダークスパッツ』のコスチュームであった。(製作協力:田中総一郎) ダークスパッツとは、高坂自身もプログラマとして参加している、エロゲーブランド『プシュケ』の プチヒットタイトル『食込戦隊ぶるまちゃん』に置ける主人公チームのライバルキャラであり、 ファンサイトにおける非公式人気投票では、メインヒロイン3人をぶっちぎって一位を獲得するほどの人気キャラでさえある。 その人気をメーカー側も放置する訳が無く、続編である『食込戦隊ぶるまちゃん オルタナティブ』での 続投が決まり、貧乳属性持ちのプシュケ信者を大いに湧かせたものである。 「……カズフサさん、アナタなんて言うか……もう」 朽木はぶっ倒れたカズフサを『かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店頭に並ぶのね』と、いった感じの眼で見ながらそう呟く。 「大丈夫ですか? 大森さん」 一方、高坂は、襲われかけたことに対して、微塵もなんとも感じていないのか、 ケロリとした顔で、倒れたカズフサへと手を差し出す。 カズフサは頭をぶつけたショックから徐々に復帰しつつあり、首を振り振りひとりごつ。 「フウ……アブナイアブナイもう少しで人の道踏み外すとこだったヨ」 「アナタの口から『人の道』なんてセリフが出てくるだなんて思わなかったアルね…………ソレはソレとしてコーサカ先輩」 カズフサを引っ張り、助けおこしつつある高坂を見ながら、 朽木が声をかけると「ん? なに?」屈託の無い笑顔で高坂は答える。 「なんと言うかその……良くできておりますにょー」 「あ、コレ? うん、田中先輩に作ってもらったんだ、会社の経費で」 実際良くできていた。kid s atの血鶴や、くじアンのいづみなどの貧乳娘をこよなく愛する田中の、 貧乳属性オタによる、貧乳娘の為の、貧乳キャラコスチュームであった。まさに渾身の一作。 ―――もっとも、着用している人物こそ『娘』ではないのであるが。 カズフサは、そんな高坂をしげしげと眺めながら、隣の朽木にボソボソと呟く。 (……な、なあ、クッチー。このコーサカ君だったらオレ、ちんちん付いててもイケるかもしれん!!) (だからアナタはなんでそんな! イヤしかし、コレは確かに付いてるモン付いててもイケそーな……) 朽木も高坂の全身をまじまじと見つめながらそう答える。 そのまま高坂を眺め続ける二人であったが、やがて自己の欲求に忠実すぎる29歳児が無遠慮に口を開いた。 「コーサカクンよ、そのスカートの下って……どうなっているんダネ?」 高坂はちょっと思案する表情を浮かべたが、黒い超ミニのスカートに軽く手をかけると 「………………見ますか?」と、答えた。 「「 是 非 と も ! ! 」」 ―――その高坂の言葉に、アフタヌーンが誇る二人の変態が、まったく同じセリフで超反応する。 「ダークスパッツたんの絶対領域を見る事ができるのならば、セッシャの愚息はもう! モウッ!!」叫ぶカズフサ。 「あ、ワタクシはカズフサさんと違ってそんなヨコシマな感情は抱いておりませんにょ! 女装コスプレを愛する者どうし、純粋に学術的興味を持って後学のためとしたいにゃー、などと思いまして!」わめく朽木。 「……あ、あはははー」 ヒイていた。 『あの』高坂が、ド変態二人の発するプレッシャーの前にヒイていた。 「そんな風に詰め寄られると、ちょっと見せづらいかなー、なーんて……」冷や汗さえ流していた。 「ナァニ減るモンじゃなし、パパっと見せればいいだけの話じゃないカネ、ハニバニ?」 「いやーワタクシもこんな事はしたくないんです! したくないん で・す・が! 煩悩中枢がメルトダウンして頭の中がジャンルコード29な感じでアリマして!!」 口々に好き勝手な事を喋くりつつ、じりじり、じりじりと、二人の変態が高坂へと詰め寄っていく。 「あ、あはははは……」 高坂。 絶体絶命。 「ソコの人達! やめなよ!」 ―――しかし、幸か不幸か、乱入してきた一人の青年の制止の声によって、状況は大きく変わる事となったのであった。 (*注5)『フリルカチューシャ』:平たく言うと「メイドが頭につけてるアレ」 「うう……西田くん、早く帰ろうよぅ」 時間は少しさかのぼる。 根岸と西田は、オタショップの多数入居している雑居ビルを巡回していた。 正確に言うと『シュミの買い物』の為に、アキバのあちらこちらを フラフラする西田を、根岸が一方的に追いかけていた。 根岸は先ほどから何度も何度も西田に声をかけているのだが、西田は根岸の方を振り向こうとすらしない。 つい先ほどまで、二人はDVDショップにいた。 DVDショップと言っても、街角のそれとは明らかに客層とジャンルが違う。 店内はイイ年した男性客で溢れかえり、いわゆる『萌え系』という奴だろうか…… ……美少女キャラがポーズをキメるジャケットのアニメを真剣に吟味していた。 その少し前にはフィギュアショップにいた。 恥部や局部もしっかり作りこまれたフィギュアが堂々と展示されており、根岸は目のやり場に困ることとなった。 そしてそんなモンに数万円の値がついていると言うのは、根岸の理解をはるかに超えていた。 更にその前には同人本屋にいた。 その『更にその前』まで、根岸は『エロパロ同人』と、言うモノの存在そのものを知らなかった。 女性キャラがあられもない姿を晒している本が棚一杯にびっしりと並べられていた。 アニメや漫画にうとい根岸でさえ知ってるような、マガヅンやジャプン系の女性キャラさえいた。 ショックだった。 少年少女が純粋に楽しんでいるであろうその作品を元に過激な性的妄想を行い、 それを漫画にしてしまうという人種がいると言う事実が何よりショックだった。 そして根岸が、この街が、秋葉原の街が『こんな店ばっかり』であるという事実に気づくまでにそれほど時間はかからなかった。 「……ねえ、早く帰らないと社長に怒られちゃうよ?」 そして今、ボンレスハムのようにぐるんぐるんに縛られた少女のポスターの前で、根岸は再び西田に声をかける。 正直、こんなおかしな街からは早く帰りたいのだが、西田から目を離すとどこに行くかわからないし、 何をしでかすか判ったモンじゃ無い。 だが、自分ひとりだけ先に帰るわけにも行かない、西田が行方知れずになった場合 『社長』の叱責を受けるのは根岸自身なのだ。 そんな根岸のセリフを聞いているのかいないのか、西田はお構い無しに歩き続けていたが、 とある建物の前に来ると「ここだ」と、ポツリ言い、遂には足を止めた。 メッセ山王。秋葉原店別館。この建物はそう呼ばれている。 エロゲーイベントのメッカであり、体験版配布、原画師サイン会、開発者との質疑応答などなどなど、 ありとあらゆるタイプのイベントが行なわれ、エロゲオタの消費意欲を扇動し続けている。 本日ココではエロゲ業界をリードするブランド『プシュケ』の販促イベントが行なわれる予定なのだ。 もっとも、今日のソレは開発者にとっては残念な事にオタの注目度はあまり高くない。 人気作のイベントならば、溢れんばかりに人がいるのだが、イベント開始直前になっても15名ほどが行列を作るのみ。 混雑対応の店員も、今日はそれほど殺気だってはいない。 そして西田が行列の後ろにつくと、根岸もやむなくそれに続いた。 ―――だが、そこでの出来事は『一般人』の根岸には到底理解しがたいモノであった。 人目気にせず「ブルマが!」「スパッツが!」と大声で属性論争を競い合わせる者。 半裸の――いや、ほぼ全裸の女子キャラが描かれた特大ポスターを広げだす者。 そして、ノートパソコンでHなゲームを路上で堂々とプレイし始めるもの。 「お兄ちゃん……ダメだよぅっ!」と、言う幼女の叫び声が十分聞こえるほどの大音量だ。 トドメに西田に至っては、エロゲーのノベライズを読み始めた。しかも音読。 「うふん くすぐったいだめよ もうすぐままがかえってくるんだから と まーがれっと は いったのだが ぼぶはごういんに―――」 そう、注目度が高くないだけに、集まったのはかえって『濃い』オタクばかりだったのだ。 「 も う ヤ ダ ッ !」 気づけば、根岸は顔を紅潮させ、周りのオタクたちがビクッとするくらいの大音声で叫んでいた。 並んでいた時間はわずか数分ながら、その数分で、もはやガマンの限界を超えていた。 何より、一緒に並ぶ事で彼等と『同じ人種』と思われることに耐えられなかった。 「西田くんなんてライブに遅れて社長に怒られちゃえばいいんだッ!」 どっしり腰を構えてエロ小説を読みふける西田にそう吐き捨てると、根岸は当てもなく駆け出した。 その怒りは、西田個人に向けられた者なのか、はたまたアキバ全体に向けられたものなのか。 根岸は駆ける。 駆ける。 駆ける。 おかしい、おかしいよ、みんな! どうして、アニメなのに、マンガなのに、いやらしいことをするんだよ! 小さい女の子まで、いじめちゃ、かわいそうじゃないか! もはや根岸には秋葉原という街の存在そのものが、耐えがたい物となりつつあった。 表通りを避け、人目から、オタクから逃れるように、裏道へ、路地へと根岸は走っていく。 ―――その路地で、根岸は聞いてしまった。見てしまった。 「「 是 非 と も ! ! 」」 その場所が、その時間が。 根岸の、そして朽木とカズフサと更には高坂の……いや、アキバ史に残る伝説を築く運命の分岐点であったのだ。 根岸は聞いた。二人の『いかにもオタクっぽい』連中が「是非とも」と、大声を張り上げるのを。 根岸は見た。メイドのような奇妙な格好をした『少女』がそのオタクどもに絡まれる現場を。 自分が叫んでどうにかなると思ったわけではない。 自分に止められると思ったわけでもない。 ただ、今の気分では許せなかった。この街と、それに関わる奴等が許せなかった。 ―――それに、何より暴漢に絡まれる『少女』が相川とダブって見えたと言うのもある。(*注6) だから叫んだ、だから止めようとした。馬面のオタクに。やけに筋肉質のオタクに。 「ソコの人達! やめなよ!」 と。 (*注6)『相川』:根岸の彼女(のような者)。でもヤったかヤって無いかで言うと、まだヤって無い。 「……ハァ?」馬面のオタクが根岸に振り向いた。 「ンン~~?」筋肉質のオタクも根岸に振り向いた。 「…………?」メイド風な姿の『少女』も首だけを動かして根岸を見た。 もちろん彼等は朽木&カズフサのアフタヌーン変態コンビであり、そして彼等の餌食となりつつある高坂であった。 カズフサは横目で根岸の方を見ると、クイッとメガネを押し上げながらこう言った。 「クフウ……なんだね、そこのキミィ? オレタチに何か意見でもあるというのカネ?」 「や、やめろって……いったん……です」 勢いで『止めろ!』と言って見たものの、根岸は既に後悔しはじめていた。 オタク達は二人とも背が高く、そのうち一人はありえないほどの筋肉量の持ち主だ。 単純な腕力勝負では、とてもかないそうに無い。 「止めろと申されましても困りますにゃー。『スカートの中を見せる』と、 言ったのは、こちらの方が先に提案してきた話でアリマスぞ?」 『こちらの方』と言いながら、朽木は高坂を指差す。 指差された高坂は「あはははは……」と苦笑いするものの、否定も肯定もしない。 朽木の言葉は事実であるが『うん』と言うには空気が悪い。そんな場を誤魔化す為の笑いであった。 しかし、その高坂の態度を、根岸は『嫌がっている』と解釈した。 良く見れば、困っている顔も大変かわいらしい。 「やめてくださいよ。その女性(ひと)嫌がってるじゃないですか!」 今度は場に慣れてきたせいか、多少は大きな声をだす事が出来た。 その言葉を聞いたカズフサはズズイと前に出ると、筋肉を誇示するポージングを決めながらこう言った。 「アァン? ……電車男きどりかァ、ゴボウ君? 絡まれッ子一人助けるくらいでフラグが立つなら誰も苦労はせんわ!」 なぜか目には涙を浮かべていた。何か嫌なトラウマでもあったのだろうか。 ここでカズフサと朽木の発する空気から解き放たれたせいか、ようやく高坂が口を開いた。 「……あの、大丈夫ですから。本当に大丈夫ですから。……それに、ボクが、その……『見せれば』済む話ですから」 その言葉に、根岸はドキッとした。 自分の事を『ボク』と言う女の子は始めて見たが、思いのほかにハートにヒットしてしまった。 コレがいわゆる『萌える』と言う感情であろうか? ―――それに、正直、根岸自身も『見たい』とさえ思ってしまったのだ。 なんのかんのと言ってもやはり根岸もオトコノコである。 「おおっ! やっと覚悟完了でアリマスな!!」「待ちかねてイタヨ、ハニバニ!」そして、口々に期待の言葉を叫ぶ変態二人。 高坂は諦めたような顔で再びスカートに手をかけると、ためらいがちに、それを上げていった。少しづつ。少しづつ。 「みっ・せっ・ろっ!」カズフサが煽り。 「ハイ、みっ・せっ・ろっ!」朽木がそれに合わせた。 変態ズのテンションは上がる一方であり、呼吸までもがピタリあっていた。 ―――ダメだ。こんなことしちゃダメだ。 ―――見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ。 そして根岸は葛藤の極みにあった。見たい。けど見てはいけない。見てしまってはこの変態たちと同類なのだ。 ―――ううう、ダメだ、ダメなんだよぅ。 ―――女の子がそんな、はしたない事しちゃイケないんだよぅ。 「にげてーーーーーっ!!!」 ついには葛藤に耐え切れなくなったのか、気づけば、根岸は叫んでいた。叫びながらカズフサの背中に飛び掛っていた。 「何をするかコゾウ!!」張り付いてきた根岸を振りほどかんと、カズフサは必死で身体をゆする。 張り付きつつ根岸は更に叫んだ「君! 逃げて! 僕がコイツを押さえている間に逃げてーーーッ!!」 「……え、でも」あまりに突然の出来事に、流石の高坂も困惑するしかない。 「にゃにゃにゃ、にゃんですかにょー?!」朽木に至っては興奮のあまり、もはや日本語になっていない。 「ふんぬっ!!」「にげてー!!」 「オルァッ!!」「にげてー!!」 「そおぃっ!!」「にげてー!!」 しがみつく根岸と、振りほどかんとするカズフサ。 ある意味一進一退の攻防が続いていたが、やはり基礎腕力が違いすぎる。 40秒もたたないうちに、己の首をつかんだ根岸の手を引き剥がすと、 カズフサはゴミでも捨てるかのように、根岸を路上に放り投げた。 「ぎゃわんっ!」したたかに頭をぶつけたのか、悲鳴を上げる根岸。 力尽きたのか、目をつむりぐったりとしている。 そんな根岸を見下ろしながら、カズフサは勝利宣言する。 「クックックッ……モヤシ君にしては良くやったと思うが、ドオやらオレの敵ではなか…………って、ええ?!」 なぜか、余裕ぶっこいていた筈のカズフサの顔がみるみる青ざめ始めた。 「…………え!?」同じく、それを見た高坂もが硬直する。 「にょ?! にょにょにょにょにょにょにょにょにょ~~~?!」朽木に至っては興奮のあまり、もはや人間の言葉ですらない。 ―――見れば、倒れた根岸の頭部付近から、どくどくと、赤い、赤い液体が多量に流れ出していた。 流れ出す赤い液体は、みるみるうちに根岸の服を染め、身体を染め、アスファルトに赤い液だまりを生み出した。 「血ッ……血だァァぁぁぁぁぁぁっ!!」 流石のカズフサもこの光景にはビビって叫んだ。 「どーするんですかにょ、カズフサさん?! ヘタすりゃ死んでるナリよ、コレは!」 やっと日本語が喋れる程度に落ち着いた朽木が、カズフサに詰め寄る。 「え? どーするって、その……」 「あ、ワタクシ知りませんからにょ。かんけーありませんからにょ。やったのはカズフサさんですからにょ」 「てめぇ、クッチー! オレ一人に全責任を押し付けるつもりと言うのカネ?!」 「いやほら、暴力アピールをしたのもカズフサさん。ポイとほおり投げたのもカズフサさんじゃ、アーリマせんか!」 「……え、だって、その、抱きついてきたの、コイツからだし」 「しりまセーン、ワタクシ無関係デース」 朽木は最後にそう言い捨てると、カズフサからも、倒れる根岸からも目をそらした。 この世の全てに見捨てられたカズフサは、アワアワと慌てふためいたり、 指をくわえてみたり、根岸や周囲を見回したりしていたが、 突然「ボ、ボクもう、おうちかえゆーーー!!」と、叫ぶと、あさっての方向に向かってダッシュした。 罪を犯してしまった成人男性とはとても思えない、責任感の足りなさすぎる29歳児丸出しの行動であった。 「ちょっ……カズフサさん、マジでどーすんですかコレ?!」 おいていかれた朽木は、根岸を見ればいいのか、カズフサを追いかければいいのか判断に迷い、マゴマゴするばかりである。 ―――かたや、醜く責任を押し付けあう変態二人とは違って、高坂は迅速に行動に移っていた。 「大丈夫ですか?!」まずは声をかけ、意識があることを確かめる。 「う、う~ん」声に反応したのか、倒れた根岸はうめき声をあげた。 良かった、意識はあるようだ。しかしこの出血では……とりあえず止血か? それとも無理には動かさず、救急隊が来るまで待った方が良いのだろうか? そうだ、救急隊だ、まずは呼ばなければ。 「朽木君! 救急車を呼んで!」朽木に向かって高坂は叫ぶ。 「きゅっ、きゅーきゅーしゃでアリマスか?! えーと、117,117……」違う。それは時報だ。 その時。 「服が……濡れちゃったよぅ」 回復しつつあるのか、倒れたままの根岸が口を開いた。 「あ、喋らないほうが! かなり出血してるんです!」そんな根岸に注意を促がす高坂。 しかし、聞こえているのかいないのか、根岸はかまわず喋り続ける。 「ヒプノタイズで……相川さんにみたてて貰った奴なのに……」(*注7) 「じっとしててください! すぐに救急車がきます!」とにかく、高坂は根岸を落ち着かせようと声をかける。 だが、それも意に介さず根岸は決定的な一言を口にした。 「……それに、割れちゃったよぅ。おかーさんが送ってくれたトマトジュース」 「……は?」「……へ?」 それを聞いた高坂と朽木の眼が点になる。 高坂はぴくぴくと鼻を動かすと、周囲の臭いを嗅ぎ分けた。 血液の鉄臭さとは全然違う、爽やかさすら感じるこの香りは…… 「……トマトだね」 朽木もまた、赤い水溜りに指を突っこむと、ためらいもなくその指をベロリと舐めた。 「……トマトでアリマスな」 どうやら両親に『道に落ちていたものを不用意に口にしちゃいけません』と言う教育を受けなかったらしい。 つまり、路上に溢れるこの赤い液体は。 「トマトジュースではアーリマせんか?!」わかりきったことをイチイチ口に出す朽木。 そうとわかれば一安心である、高坂も、朽木も、内心ホッと胸を撫で下ろしていた。 だが、油断はならない。ビンを割ったのであれば、その破片で何らかの外傷を負っているかもしれない。 そう考えた高坂は、根岸の頭部を診るためにしゃがみこんだ。 ―――――そう、しゃがみこんでしまったのだ。 超ミニのスカートをはいているのに。 倒れた成人男性の頭部の前なのに。 ホッとしたがゆえの油断もあった。 スカートを押さえて隠す事など考えも付かなかった。 「な、なんだそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 そして根岸は吼えた。吼えると同時にバネ仕掛けの人形であるかのように起き上がった。 背にはトマトジュースの入っていたバッグがあり、そこからボタボタと赤い液体がこぼれ落ちた。 「なんだそりゃ! なんだそりゃ! なんだそりゃ! なんだそりゃぁぁぁぁぁぁっっ!!」 見た。根岸はその眼でしかと見た。高坂のスカートの『中身』を。 そこにはスパッツに包まれた形のいい腿と、根岸の常識ではあってはならない『モノ』があった。 根岸は両手で顔を抑え、今見たものを否定するがごとくブンブンと頭を振る。 轟く感情に翻弄されたせいか、足元を赤い水溜りにすくわれ、滑って転んで、またもや赤いしぶきを舞い上げた。 「あの……まだ動かない方が良いですよ。頭ぶつけたみたいですし」 再び赤い水溜りに全身を浸からせた根岸を助けおこそうとして、高坂は根岸に手を伸ばす。 しかし根岸は差し出されたその手を殴りつけるかのごとく、払いのけると 「俺に触るなぁっ! このオカマ野郎がぁぁぁぁぁぁっ!!!」と、叫び、自力で立ち上がると、凄まじい勢いで駆け出した。 この状況でも、ドンキのビニール袋を回収する事を忘れなかったのは『社長』を恐れるが為だろう。 そして、根岸が走り去ったあとには呆然と立ち尽くす高坂と朽木だけが残された。 「アレだけ走れるならだいじょーぶでしょうナ」朽木が言うと 「アレだけ走れるなら大丈夫だろうね」と、高坂が答える。 「一体なんだったんでしょうかにょ?」朽木が聞くと 「一体なんだったんだろうね?」高坂も問い返す。 二人とも、それ以上の言葉は交わさなかった。 あまりに一気に起こった出来事のために、二人とも思考が停止していた。 〔……だいま午後2時51分30秒をお知らせしますプップップッポーンただいま午後2時51分40秒をお知らせしますプップップッポーンただい……〕 沈黙の支配する路地で、先ほど朽木がかけたケータイの時報だけが機械的に時を告げていた。 「「あ」」 その時報が二人を我に返らせた。 「いかなきゃ」「そうでアリマスな!」 二人が向かうはメッセ山王。秋葉原店別館。 その場所で、更なる混沌に出合う事を、二人はまだ知らない。 (*注7)『ヒプノタイズ』:代官山にあるオシャレ服屋。デザイナーのアサトヒデタカが根城にしている。(DMC設定) ―――どこをどう走ってたどり着いたものか。 気づけば、根岸はとある雑居ビルの個室トイレに潜りこみ、あふれ出る感情の奔流に、ただただ身を任せていた。 なんだこの街は! なんだこの街は! せっかくお母さんが送ってくれたモノだったのに 誰も彼もがアニメやマンガの事しか考えていない! とてもおいしいトマトジュースだったのに しかも奴等はそれを性的妄想の材料としていやがる! お父さんが育てて、妹が絞った奴だったのに 白昼堂々とオタク野郎がコスプレの女に『脱げ』と迫り! 事務所のみんなに飲んでもらおうと思ったのに そしてその女までもがオカマ野郎だった! ジャックさんにも送ってあげるつもりだったのに アレが許されるのは、ゆびさきミルクティーだけだ!(*注8) 壊された! あのオタク共が割ったんだ!! …………グロテスクだ………この街はグロテスクだ!! 秋葉原と言う街の存在そのものが、もはや許せぬ!! SATSUGAIだ!! この街の奴等全員SATSUGAIしてくれるわーーーッ!!! ―――怒りに支配され、理性を失った根岸は、赤い汁にまみれたバックを開き、復讐への準備を始めた。 いや……もはや根岸の肉体を操るのは『根岸崇一』と、言う男の魂ではない。 『それ』は、根岸の精神の奥底に宿る、人知をはるかに超越した存在であった。 『それ』は信者曰く、人型をした破壊と破戒の象徴。 『それ』は信者曰く、這い寄る混沌の化身の一つ。 『それ』は信者曰く、666の刻印を持つ審判の獣。 『それ』は信者曰く、パンドラの箱に最後に残った『悪』。 『それ』は信者曰く、数億の悪魔を従える地獄の軍団長。 『それ』は信者曰く、アルファにしてオメガたる存在。 とは言え、以上はどれも俗説に過ぎず、確たる証拠など何一つ無い。 だが、一つだけ確実にいえる事がある。 メタル 『それ』が音楽をもって人心を操り、狂わせる事さえ可能な真の悪魔だと言う事を!! そう! 彼こそがクラウザー!! ヨハネ・クラウザーII世!! デスメタルバンド『デトロイト・メタル・シティ』のリーダーであり、 数々のリアルレジェンドを生み出した彼の実力は、まさに帝王のそれである。 怒り狂うクラウザーさんを呼び起こしてしまったアキバの街は、一体どうなってしまうのであろうか? それは誰にもわからない。 ただコレだけは言える。 たった今、秋葉原の街は地獄と直結したのだ、と。 (*注8)『ゆびさきミルクティー』:DMCと同じくヤングアニマルで連載中のマンガ。 詳細は省くがDMCとは穴兄弟のような関係である。
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